物理的なそれと心的なそれ/被写界深度の話

絞りをめいいっぱい開けて、シャッターを切る。
すると見せたい所にだけピントがあって、その前後はボケて、奥行きのある写真ができます。
見せたい所を際立たせる事で、撮影者の思いを明確化するときなどに使う手法。
これが私の言う所の、いわゆる
「物理的被写界深度」
何故に「物理的」といえば、これはレンズの絞りとそこからの距離によって、極めて法則的に生じる現象ですので、あえてこう呼びます。
で、こんな写真を撮っていると、当然、こんな絵が描けないかと思い、ちょっとやってみます。

すると、こんな風になります。
「これは面白いかも...」
やってみると、確かに「物理的被写界深度の浅い写真」の様な雰囲気を醸し出した絵になってきます。
まるで天下でも取った様な、軽い高揚感のもとで制作を続けているうちに、ある事に気が付きます。
「こんな絵、どこかで見た事あるなぁ...」
で、よくよく思い出してみると「そんな作品はとうの昔から描かれている。」という事実に行き当たります。
例えばこんな風に...

これはベラスケスと言うスペイン人が、今から400年近く前に描いた作品の部分なんですが、①の人を良く見て下さい。
(この写真自体、全体的にピンぼけでわかりにくいかもしれませんが)確かにこの人は「ピンぼけ」見たいに描かれています。
ここを暗くぼかす事によって、手前(=見せたい所)を際立たせ、明確化する、つまり「被写界深度の浅い写真」と同じ様な効果を生み出しています。
で、私はこれを
「心的被写界深度」と呼びます。
なぜ「心的」かと言えば、②の人を見てみて下さい。
写真であれば一番手前の人にピントがあっていて、その奥の人①のピントがボケているとすれば、更にそこより遠くにいる人や、もっと奥の背景などはもっとボケるはずにも関わらず、②の人はピンぼけしてません。
単純な物理法則に依るのではなく、作家の意図によって、一つの画面の中で「深度」を自由に使い分けることから、仮に「心的」とよびます。
(なんなら「作為的」とか「無秩序的」とか、呼んでも構いませんが)
ちなみにこの①の場合、さらに暗室作業で言う所の「焼き込み」みたいな事をする事で、さらにピンぼけみたいな効果を出しています。
長くなってしまいましたが、要するに、絵画の世界では、ずっと以前からこんなことは行なわれていたというお話。
別段、新しい試みではないことに、今更気が付いて、ちょっと赤面しています。
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html








それでも何もしない訳にも行かず、こんな小品を作っています。








妻が用事で大曲まで出かけてしまったので、今日は子どもと一緒に作業です。





で、今日はその第一弾。
会場は外から見るとこんな感じ。
一日目に、この学校の廻りに、歩いて御飯を食べに行ける所やコンビニがない事が判明したので、二日目は弁当持参。

ただ、こんな風に、タフでハードな使い方を続けていると、さすがに刃先も鋭くなるというか、研ぎ澄ませれると言うべきか、油断するとこんな風にケガをしてしまいます。


で、まずは梱包用の箱から、別の公募展に出品した作品を取り出すと、

1.普通に材木を切って、仮縁を付けます。
3.のりが完全に乾く前に、余分な所を切ってはがします。
4.一応出来上がり。












こんな夕日にも「気が付けば」出会えるが、気づかずに行き過ぎてしまう事もしばしば。






最初は、左の写真のように単純にカラー布テープをそのままの木枠に貼り込んでみたのですが、木枠自体の厚み(幅)が薄過ぎて、いまいちだったので、ベニヤで厚みを付けてみました。







これから塗布していくのはブルー系の色です。ホワイトや今回の赤褐色の顔料もそうですが、元来、下地材として使われるのは不透明色です。しかしここからはあえてウルトラマリンブルーという透明色を使用します。
一番上の写真はまだ塗れ色の状態ですが、これだと見た通り、ほとんど黒っぽく見えます。実際、絵の具の混色で黒を作る時にも「茶系+青系」だったりするので、ある意味当然と言える結果です。


この写真だとちょっとわかりづらいかもしれませんが、液状だった膠水が、ゲル状になってきています。これは気温が低いのと、器が冷えきっていたせいで、膠が見る見るうちに固まっていったものです。膠塗りの作業の場合はくれぐれも作業部屋と使う器の温度を下げすぎないように気をつけましょう。






この透層が乾いたら、卵テンペラで着色していきます。
プルシャンブルー
チタン白




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ここでちょっと問題発生。
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上の写真は今回使う大まかな道具が写っています。ボールの中の白い粉は胡粉とチタン白です。これでは見えませんがこの下には冷蔵庫で冷やされ、固まった膠水が入っています。(右図)
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二回目の膠塗りを始めます。
二度はお見せしませんが、塗り終わった頃にはやっぱり木枠がたわむほど布が縮んでいます。そして乾燥すると同じようにキャンバスはシワだらけになります。そして今度はいよいよ下地塗りです。
一口に膠と言っても様々種類があります。ウサギからとるのもあれば
鹿からとるものもあるし、少々乱暴な言い方をすれば要するにゼラチンみたいなものです。この材料は特に日本画の方で多用されるので購入するときも日本画材コーナーに行く事が多いです。写真の中の棒みたいのを「三千本膠」といい、よく使われているのですが、経験上他のものより腐り易いようで、私は粒状の方をいつも使います。今回のものは洋画剤として購入したものですが、洋画剤としてはそんなにメジャーなものではないので、扱ってないお店も多いです。

膠が十分膨らんで境界線が曖昧になって来た所で、今度は湯煎です。
適度に温まり、これくらい溶けてきたら、時々、静かに撹拌して、まだ膠の粒が残るようでしたら、再びお湯に戻し湯煎を続けます。粒が残らないようなら、全体の濃度が均一になるように、また静かに撹拌して下さい。
こんな感じで完成です。ちゃんとできていると気温20度くらいなら、自然に固まります。保管は冷蔵庫で行ないます。
しかしいざ初めて見るとこれがやっぱり大変な仕事なんです。
一通り塗り終わるとこんな感じになります。最初にヘリの部分を塗るのもお忘れなく。ムラになっているようにも見えますが、今までの経験から言うと、一層目はこれぐらいでも大丈夫です。ただ百年後にどうなるかまでは責任は持てませんので、あしからず。
左の図を見て下さい。一番左の図は膠を塗る前、その隣の図は塗った後です。わかりづらいかもしれませんがニカワを塗ると布が縮んで木枠が大きく歪むのです。水分を含むと逆に膨張して伸びるような気もするんですが、実際はこうなります。だから最初に布を貼るときは、プライヤーなどを使わず、手で引っ張った方が良いと言う意見も聞きます。その方が貼り方が緩いので、キャンバスが破けたり木枠が壊れたりしづらいのだそうです。








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