カテゴリー「書籍・雑誌」の48件の記事

2013年9月29日 (日)

4年間お世話になりました。

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札幌市の南、真駒内にある私設図書館「六花文庫」。
主に食をテーマにした本を収集しているその図書館内の、片隅におかれた棚に納められた箱の中には、作家さんの手による小さな作品たちが、ふたを開けられるのをひっそりと待っていました。

ありがたくも私の作品もそんな箱の中の一つに納まる事を許されて、はや4年。(途中で作品の入れ替えもありました。)
どれだけの人が作品を見て行かれたのかは判りませんが、そんな場所に自分の作品が静かに息づいていると思うだけで、なんだかとっても嬉しくなるような場所でした。

またそのおかげで念願の北海道での個展開催のチャンスも頂くこともできるなど、色々な意味でお世話になった場所であります。

作品の入れ替えで、私の作品はこの9月で撤収となりますが、10月からはまた新たな作品たちが、来館した皆さんに箱を開けてもらえるのをひっそりと待つ事になると思います。

壁に掛けられたりや展示台に置かれているのではなく、箱を開けて自分の手に取って眺められる作品が置かれている場所。
そんな、ちょっと贅沢な時間を過ごす事のできる「六花文庫」に、皆さんもお時間がありましたら、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?。


次はどんな作品と出会えるのかな??



*六花文庫のサイトはこちら


大きな地図で見る

 



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら

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2013年9月 5日 (木)

「おといねっぷの森」から

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おといねっぷ(音威子府)は道北にある小さな村。
かの動物園で有名な旭川から日本最北の市「稚内」へと北上する国道40号線の途中にある村。

私自身、その稚内に5年ほど住んでいた事があり、その間、この村も何度か通ったことはあるのだけれど、正直に言えば、道の駅でのトイレ休憩以外でクルマを降りたことが無い。
そのトイレ休憩にしても、この音威子府から稚内へと車で北上する途中の1時間強の道のり(音威子府〜豊富町まで)の周囲には原野か牧草地がひたすら続くのみで、国道沿いに民家はおろか小屋の類いもほとんど見あたらず「公衆トイレはおろか、借してくれそうなトイレすらない!」と言う事情があるからで、そうでもなければ、わざわざ立ち寄ったりすることも無い様な寂しそうな村でありました。(本当は私が何も知らないだけ。地元の方、ごめんなさい!)


そんな村にある美術と工芸の指導に特化した高校が「おといねっぷ美術工芸学校」である。
その学校生活やカリキュラムの特殊性に加え、在校生がさまざまな公募展で優秀な成績を収めているため、その世界では色々と注目されているようで、本書は、そこに赴任した校長先生の手によって書かれたものである。

本書のタイトル「奇跡の学校」と言うのは、いささか言い過ぎのような気もしないでもないですが、本当にこの本にあるように、美術や工芸の制作を通じて人格形成がなされ、人が成長して行けるのであれば、これはこれで一つの「理想の学校」の姿であるような気もするし、芸術家や職人をめざすとかどうかは別としても、子どもたちにとってはひとつの「憧れの学校」では無いかと思います。


今、住んでいる秋田からはあまりにも遠く、ある意味辺鄙な場所でもありますが、もし進路に迷っている中学生の方がおられましたら、この本を読んで「世の中にはこんな不思議な学校もあるんだなぁ」ということをちょっと思い出してくれたら、また一つ選択肢が増えるのかもしれません。
(迷いが増えるだけかもしれませんが)


「奇跡の学校ーおといねっぷの森から」/石塚耕一 著/光村図書 刊


*北海道おといねっぷ美術工芸学校のサイトはこちら

 



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2013年7月 9日 (火)

新美南吉絵本大賞作品展

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「新美南吉」というと「誰だっけ?」と言う方もいるかもしれませんが、「手袋を買いに」「ごんぎつね」と言うタイトルを聞けば「それなら知ってる!」と答える方は多いいかと思います。
そんな物語を生んだ新美南吉という作家が愛知県の方で生まれて、今年でちょうど100年。

それを記念して開催されたのが「新美南吉絵本大賞」(開催は昨年)で、彼の作った童話数点の中から一つを選んで、絵を描き、文字を入れ、製本して出品するという公募展でした。

最近何かと本を作るのが楽しくなって来た私でして、今回、応募した訳ですが、私自身「手袋を買いに」のイメージが強く、てっきり寒い所の方かと勝手に思い込んでましたが、愛知県出身という事で、自分の得意?な「雪」の絵が描ける作品を選ぼうと思ったら、これがけっこう大変でした。

まあ、結果としては大賞でもなければ入賞でもなかった訳ですが、なんとか1次審査は通過しまして、かろうじて面目は保たれた訳でありましたが、このほど、その生誕100周年を記念して、下記の場所にて、い一次審査まで通過した作品を一挙に展示する展覧会が開催される事になりました。



《 新美南吉絵本大賞作品展 》

《1》
 日時:7月27日(土)〜8月2日(金)9:00~20:00(最終日は15時まで)
   *7月29日(月)は休館。
 場所:安城市文化センター 3階展示室

《2》
 日時:8月7日(水)〜8月18日(日)9:00~17:00
   *8月12日(月)は休館。
 場所:安城市民ギャラリー 1階C室


たぶん、製本されて送られて来た本が100冊近くも並ぶ、けっこう読み応えのある展覧会になるのかなと思います。
愛知県という事で、私自身はどう頑張っても足を運ぶのは難しいですが、お近くの方、興味のある方は、ぜひ足をお運び下さい。

私の分に関しては参考までに数頁分だけこの後に載せておきます。
また「七夕絵どうろう祭り」の際に行います、「世界ノカケラ 第5章」展の会場にも置いておこうかと思っていますので、興味のある方は足を運んで見て下さい。

 

続きを読む "新美南吉絵本大賞作品展"

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2013年7月 5日 (金)

「人と恐竜」が交錯する実話

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こんな話があります。

国立科学博物館にあった、とある肉食恐竜の全身復元骨格で、実質日本に始めてやって来た恐竜の化石。
それは「日本の子どもたちに恐竜化石を見せてあげたい!」という日系人実業家の強い想いによって、その発掘と研究、復元のための資金を、自分が築いた財を投げ打ってまで捻出したことで実現しました。
ちなみにその実業家がそもそも恐竜化石に興味を持ったのが、第二次世界大戦中「日本人」と言う事で強制的に収容されていた場所の近くが化石の産地だったからと言う話。

何気なく眺めてしまえば、どうという事の無い恐竜の化石なんだけれど、「人」と言う生き物が関わっているものだから、そこには否が応でも何らかの「物語」が存在します。

6500万年近く前に絶滅してしまい、放っておけば交錯する事の無かった人と恐竜。
本書では、「化石」と言うモノを通して、この2種類の生き物が時代を超えて関わりを持った事で生じたビミョウな物語の一端を知ることができます。


「ニッポンの恐竜」 笹沢 教一 著/集英社新書 刊




 



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2013年6月29日 (土)

パウル・クレーの詩

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彼の作品って、ある意味、自分からはかなり遠い存在のように感じています。

でも、いつもなんとなく気になる画家。

「クレーの日記」なんて有名な本もあるけれど、これはたぶん「クレーの詩」って言う名の翻訳で出ている本なのかな。

一箱古本市で見つけて、手製本っぽい装丁に一目惚れして購入しちゃいました。

当然、中身はドイツ語の訳で、意味、さっぱり判りません。

でも判らないおかげで、そのアルファベートの並ぶ1ページ全体が、クレーのタブローのように見えるんですよね。



不思議。

 



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2013年6月 9日 (日)

恐竜と探偵?

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解剖台の上のミシンとこうもり傘の偶然の出会いのように美しい。
と言う文章がありますが、まあ、美しいかどうかは別として、この児童書の「恐竜探偵」というタイトルには、前文の「出会い」と同じくらいの軽い衝撃を受けました。

タイトルだけをみると「遥か中生代から現在まで人知れず生存を続け、頭脳明晰となった恐竜族の若者が、ある時、好奇心で出かけた先で人間に見つかってしまい、そこで偶然殺人事件に出くわし、それを人並みはずれた?嗅覚で見事解決!」とか、想像してしまいそうですが、残念ながらそこまで壮大な話ではありません。
簡単に言ってしまえば、恐竜好きの少年がその好きな恐竜と絡めて、身近に起きた事件を解決するという少年探偵もののお話。

ただし、「児童書」と言って侮るなかれ。なかには相当専門的な話も出て来るので、丁寧に読んで行かないと、大人でも途中で話が分からなくなって来る可能性あります。

タイトルは奇抜ですが、読み物としてはけっこうしっかりできているので、恐竜好きの子はもちろん、推理小説の好きな子でも楽しめるシリーズです。

恐竜探偵フェントン 1〜5
B.B.カルホーン:著/太田大八:訳/千葉茂樹:絵(小峰書店)



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2012年12月26日 (水)

きっかけはさまざま。

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最近、小4のうちの子がハマっている本が、講談社の青い鳥文庫から出版されている「タイムスリップ探偵団」というシリーズ。
「宮沢賢治は名探偵」「坊ちゃんは名探偵」「坂本龍馬は名探偵」などなど、歴史上の人物などが表題となっているいわゆるライトノベルで、かなりの数が出ているらしい。

このシリーズのサイトも立ち上がっているくらいだから、よっぽど人気があるのかもしれません。

相当面白いのか、集中すると、1冊、二時間弱程度で読んでしまうらしく、学校の図書室の方はほとんど読破したようで、次は市民図書館の方を物色している模様。

で、ここまではよくある話なのですが、ここからの展開が面白い。

というのも、今度はその表題になった本や人物に興味が出て来たようで、先日早速「坊ちゃん」やら「宮沢賢治」などの本も一緒に借りて来たようです。



きっかけなんかどこに転がっているか判りません。


 
 

 



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2012年12月 5日 (水)

「宵山」という迷宮

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この本も京都、しかも祇園祭を舞台にした一冊。

古都の持つ奥深くてちょっと怪しげな雰囲気が漂います。

短編小説の様でもあり、長編小説の様でもあり、さながら「通りを一筋間違って曲がったら、いつもの街が迷宮だった」、みたいな感覚が妙に心地良かったりします。

いや、単に私がそう言うのが好きなだけか...


そんな読み物でした。


宵山万華鏡
森見登美彦 作/集英社 刊

 
 



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2012年5月22日 (火)

阪急に乗って。

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京都に住んでいた頃、「ユザワヤ」なんて安くて便利な画材屋(本当は手芸屋さん)があったりして、時々神戸辺りにも出かけたりしていた。
その時頭を悩ませられるのは、どの線に乗って出かけて行こうかって言う事。
もともと海岸線と山の斜面との間のわずかな幅の土地にある横長の街に、「JR」「阪神」「阪急」と電車の路線が3本もあるので(その他に地下鉄もあったけ?)、ほとんど距離をあけず平行に走っていて、中心地である三宮、元町辺りでは三つの駅がほぼ隣り合うように並んでいたりする。
ところが「御影」という駅は阪神/阪急にはあるがJRには無かったり、そうかと思えば「住吉」なんてのはJR/阪神にはあるのに阪急には無いなんてややこしい状況があるので、全線の駅が集中している大阪の梅田辺りで、何も考えずに適当に電車に乗ってしまうと後でとんでもない事になる。

きっと地元の人は、乗換駅とか最寄りの場所なんかを上手く考えながら利用しているんでしょうね。
田舎者の私には「便利」を通り越して、正直ややこしく感じる事もありましたが。


先日読んだ本は題名の通り、そんな電車の路線を舞台にしたショートストーリー。
一つ一つの物語が、連結器でつながる車両の様にビミョウに連鎖し合いながら、阪急今津線とその周辺を行きつ戻りつします。

この本の「あとがき」にもあったけど、電車に乗ってると、聞くとも無くただ立っていても、時々不思議な話とか耳にしますよね。

阪 急 電 車 有川浩 作/幻冬舎 刊


ちなみに、私はこの路線には乗った事ありません。





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2012年5月16日 (水)

びりっかすの神さま

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その神様に会う方法は、いたって単純。何でもいいからビリになれば良い。
テストの点数でも、給食の食べる早さでも、かけっこでも...。

でも、自らすすんでビリになるのは、けっこう難しいし、勇気も要る。

それでも頑張って?ビリになると「ビリ仲間」同士だけが使える不思議なチカラが手に入る。
で、その力を使ってどんどん仲間を増やして行って、クラス全員がビリになったら...

そんなちょっと不思議な物語。

運動会のこの時期(東北・北海道だけ?)にお薦めの一冊です。


びりっかすの神さま

 岡田 淳/作・絵 偕成社 刊










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