草すべりその他の短編

これまでもちょこちょこ、本も読んでいたし、もちろん良い本、好きな本にも巡り会ってはいたのですが、なんとなく滞っていた本の紹介。
まあ、これだけ色々なカテゴリーを詰め込んでしまえば、なかなか日の目を見ないジャンルも出てくる訳ですが...
まだ40過ぎたばかりの私が言うのもなんですが、自分の体に関して言えば、「進歩」を感じる事などほとんど無く、むしろ「衰え」ばかりが目につく今日この頃。
気が付けば「50歳まで、あといくつ?」なんて逆算をしている自分に、加齢に対する喜びではなく、残りの人生をカウントダウンしている様な、そこはかとない寂しさを感じます。あと4、5年も経てば落ち着く(それとも開き直る?)でしょうが、とりあえず今は、減り続けるカウンターを眺めながら、焦りを感じている様な具合です。
今日紹介する本は、そんな寂しい気持ちに響くような一冊。
軽いあきらめ、でもちょっとだけ光も見えました。
草すべりその他の短編
南木 佳士 作/文藝春秋 刊
転校して以来、一度も会っていない高校の同級生(女性)からの手紙。突然、何事だろうと戸惑いながらも、一緒に山登りをする約束をしてしまう50代半ばの男性。
当時の自分、当時の彼女、そして目の前にいる彼女。
山を登りつつ、先を行くその女性の後を追いながら、今の自分について振り返る。
そんな風にして物語は進んでいきます。
表題作も含め共通しているのは、主人公の設定。
50代半ばの医者であること。それ以外にもいろいろと。
略歴を見た所、作家ご本人が医者であった(ある?)ということで、私小説みたいな感じなのかもしれません。
ドキドキ、ワクワクするというよりは、静かに響く様な感じ。
本当はそんな物やって来て欲しくない!でもそれは確実に自分の中にしみ込んで来て、いつしか、しっかりと根を張ってしまうもの。
そんな物の存在の再確認。そしてあきらめ。
でも、同時にそれを拒絶するのではなく、受け入れる事で、目の前に新たな地平が広がってくる様な感覚。
そう思えば、年を取る事も悪くはないのかな、とちょっとだけ思う一冊でした。
ちなみにこの作家さんのお名前は「なぎ けいし」と読みます。で、映画にもなった「阿弥陀堂だより」の原作者で、実を言えば学生時代を秋田で過ごしていた事もあるようです。
(秋田テイストは全く感じませんが)
この本をたまたま図書館で目にしたときは、正直「こんな作家さんの本、あったっけ?」と首を傾げてしまいました。
それはともかく、私のように40を過ぎて、年齢をカウントダウンし始めてしまった方に、ぜひ、お薦めの一冊です。
興味がありましたらぜひどうぞ。
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html




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