続・大哺乳類展を観に行く。(書き下ろしイラスト入り)
テレビの刑事モノのドラマなんかで時々「被害者を割り出すために頭蓋骨を肉付けして、顔を復元する」なんてのを見る事がありますが、要するにそれって頭骨から生前の姿が想像できると言う事が前提にあって、初めて成立する話であります。
実際自分の体を触ってみても、ほとんどの部分で皮膚のすぐ下に骨がある事を確認できる訳で、そんな事実からも漠然と「骨格に肉付けすれば、容易に生前の姿を復元できるだろう」と思い込んでいます。
この骨格標本を会場で目の当たりした時も、その大きさと長く伸びたキバから、比較的容易にこれが「ゾウの骨格だ!」という事実に行つきます。
ところがここでゾウの身体的特徴にをよく思い出してみて下さい。
1.耳が大きい。
2.鼻が長い。
そうやって改めて見てみると、この骨格標本には「長い鼻」も「大きな耳」もありません。
要するに私たちは「想像力」によって、無意識のうちにこの骨格に無い部位までも付け足して見ている訳です。
逆の理屈で考えれば、こんなウサギの頭骨を見せられても、ウサギの耳が長いという事実も、実際にどれくらいの長さがあったかという事も判りません。
それどころか「ウサギの骨」と言われなければ、なんの骨なのか見当さえつきません。
(それはこの絵の中途半端さとは関係ありません。笑)
これって、何の頭骨かわかりますか?
先ほどの「皮膚のすぐ下に骨の感触がある」と言う理屈で言うと、ずいぶんんと顔の尖った生き物のような印象ですが...
正解は「ザトウクジラ」!
なんでもこの頭骨の外側に「音響発生装置(ピンクの部分)」なるものがあるそうです。
(ただそれがどんな事に利用されているかは、まだ諸説わかれるそうですが。)
ただ少なくともこの鋭角な骨格標本からは、この四角い頭を想像するのは、やっぱりちょっと難しいですね。
中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
Shuichi NAKANO official website / English edition
http://nakanoshuichi.com/eng/top01.html
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