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2012年5月21日 (月)

化石を求めて。

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夏を思わせるような日差しの下、秋田県立博物館主催で行われた化石と地層の観察会に親子で参加してきました。


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午前9時半、県北某所に集まった十数名の老若男女たちは、脇道のひっそりした所にそれぞれの車を隠すように?停め、装備を整えて、谷間に造られた田んぼの脇道をひっそりと歩いて行きます。

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やがて目の前に日本海が見えてきます。
そしてその狭い海岸を挿むように切り立つ崖が本日の観察ポイントであります。

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まずは専門家の方から、この一体の地層についてのレクチャーをうけます。

上の写真の青い線より上の帯状の部分はおよそ20万年前に噴火した洞爺火山(現、洞爺湖)の火山灰が堆積したものだそうで、それを挟み込むようにある上下の地層が海の底に堆積した砂で、よく見るとその地層の間には大小の白いモノがたくさん挟まっていて、これが貝の化石だそうです。

で、この火山灰層を基準に右手に移動して行くと...

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地面の隆起が起こったせいで、どんどんと位置が高くなり...

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ここまで来ると足下から20メーター以上の高さになっています。
ということは剥き出しになっている地層は下にいけば行くほど年代が古いので、同じ発掘するなら、最初の写真の場所よりもここの方がより古い化石に出会える確立が高くなる訳です。

上の写真の赤い線と先ほどの洞爺火山の体積(青い線)が明らかに平行になっていないのも判ります。
という事はこの間のある時代に、大きな地殻変動があったのかもしれません。

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黄色い矢印の部分は今から40万年前ぐらいに噴火した阿蘇山の火山灰が堆積した痕跡だそうな。そんな遠くからの火山灰の体積まで確認できるのかと思うとちょっと驚きです。
で、もっと驚きなのが、この火山灰層の両側にある黒っぽい地層は「亜炭」と言われる石炭の一種(かなり粗悪だが一応乾かせば燃やせるそうな)、実はこれ樹木が堆積してできた地層で、この頃はこの辺りが陸地だった事の証拠となるそうです。

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さらに古い地層を見て行くと、海の底の地層(貝殻が挟まっているので判る)の下に再び亜炭が出てきます。
ということはこの辺りは何らかの理由で海岸線が移動し、陸地だったときもあれば海の底だったときもあるという事です。

ちなみにちょっと判り難いですがその亜炭の間にやっぱり細い火山灰層があって、これは北朝鮮にある白頭山の噴火の痕跡だそうです。

で、その直下に見える目の粗い堆積層(□に囲んだ白っぽい部分)もやっぱり火山灰層でこれはこの男鹿半島辺りに昔あった火山が噴火した痕跡だそうです。

ちなみに先生の話によれば、この火山の噴火の痕跡は、これより以前の20万年間には見当たらず、たぶんいきなり何の予告も無く噴火したそうなんですが、逆に考えると現代においても、その辺りの火山でも何でも無い山が突然噴火する事だって、充分にあり得るそうです。

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...なんて言う話を1時間近くも聞いていると、大人はともかく、うちの子みたいに化石掘りを楽しみにしていた子どもにとっては、そろそろ限界。
と思いきや「それじゃあ、この辺で化石の採取なります!」
の言葉に眼の色が輝いた直後、

「でもこの辺りは国定公園内ですので、発掘はできません。」

の言葉に、再び絶句...
どういう事かと言えば、埋まっているモノを掘り出して(発掘)はNGだが、剥がれて崩れ落ちた土の中から拾い出す(採取)ならOKということでした。

一瞬、キツネにつままれたような顔になってしまった子どもたちでしたが、気を取り直して、その辺りを捜してみると...

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落ちていた土の固まりの中から、こんなのも出てきました!!

とは言っても、恐竜の化石の様に石と見まがうような質感ではなく、貝殻がそのまま土の間に挟まったみたいな質感なんで、一度地面に落ちて見失ってしまうと、素人では海岸に打ち上げられた貝殻との見分けがつきません。

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そんな訳で発掘、いや採取を始めてから約一時間、大人も子どもも夢中になって、時を立つのも忘れてその辺りの土塊をいじってました。




中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
  http://nakanoshuichi.com/

Shuichi NAKANO official website / English edition
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