'寒い' 勧誘
「先日、国画会の展覧会で先生の作品を拝見させて頂きました。
感性豊かな色使いに、うちの評論家先生も大変感銘を受けておりました...。」
てな具合に話が進んで行きます。
こんな勧誘の電話が来るようになったのはバブル期の終わり頃からで、多い時には毎月、毎週のように、いろんな所から電話がかかってきたり、封書が届いたり。
内容的には、雑誌掲載がほとんどですが、中にはネット掲載だったり、外国での展覧会だったり。スゴいのだと「ルーブル美術館内に併設されているギャラリー」なんて言う話もあって、これはもう聞きながら吹き出しちゃいましたが。
サラリーマンをやっている頃は、団体展ぐらいにしか作品を出してませんでしたし、個展なんかをやるようになってからも、自宅の電話番号はDMにも載せた事は無いので、たぶん国画会の絵画部の図録の名簿に載っていた電話番号を頼りに電話して来ていたようです。
という訳で10年ぐらい前から掲載されなくなりましたが、今回の電話も「国画会」と言っていたので、たぶん同会で出している出品者限定で配布している出品者目録が、名簿業者にでも流れたんでしょうね。
(私の今の電話番号が判るという事は最近の物でしょう。)
マニュアルでもあるのか、どこも決まって同じ様なセールストークを駆使するようで、
・先生の作品がうちの批評家の目にとまり、ぜひ紹介したい...
(欧州の何処かの美術アカデミーの会員なんて言うのもあり)
・この件の評論家先生に作品評を書いて頂ける。
・この雑誌は全国の図書館や国会図書館にも置かれています。
(中にはフランス全土の図書館ってのもあった)
・何故か決まって必ず「色使いが云々」という。
・全国の書店にも置いてある。
ナドナド。
そして最後のお約束が、申し分けなさそうなこの一言。
「あと、掲載料の方がかかるのですが....」
ちなみに今回の掲載料はA4、1頁に作品写真と経歴と作品評などが載って16万円!!
もちろん分割でも良いそうです(苦笑)。
でもこれで驚いちゃいけません。
私が知っているのでは「60万円」なんてのもありましたから。
(掲載条件はもうちょっとよかった。)
前号なんかを見てみると、掲載作家が50人程度で一人16万円なら、総額で1000万円近い金額が稼げるって言う事で、このお寒い時期にこれだけの広告料を取りに行く苦労を考えたら、まさに「ぬれ手に粟」の商売ですね。
だいたい本自体、何冊発行されているかも不明ですし。
まあ、今回も当然の事ながら、話が長くならないうちに速攻でお断りしましたら、相手もすぐに受話器を置いてくれましたので、ここで無事終了。
それでも喰いついて来て、挙げ句に茶飲み話みたいのを始めるならまだ良い方で、中にはいきなりガチャ切りって言うオペレーターもいましたね。
それにしても多くのこの手の雑誌において共通なのは本屋さんでほとんど見かけた事が無いという点です。
本屋さんに無いなら、どこで売ってるんでしょうね??
中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/
Shuichi NAKANO official website / English edition
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コメント
SHU 様
コメントありがとうございます。
昔から私の所によく来るお誘いはやっぱり本の掲載ですね。
団体展に出品していた当時は図録や目録にも連絡先がしっかり載っていたので、毎年春になると多い時で5本くらい電話がきてました。今は団体も辞めてしまったのですっかり静かになりましたが。
終わり頃には、「うちのサイトに解説付きで掲載しますから」なんてのもありました。
時代に合わせて色々と形を変えてやってきますので、やっぱり上手い話には用心するに越した事が無いですね。
投稿: 中野 | 2013年12月 4日 (水) 12時18分
はじめまして。
古い記事にコメントしてすみません。
私も先日同様の電話がありまして・・・
怪しいと思ったのでググってみたら、こちらにたどり着きました。
てことで、一言ご挨拶代わりに書かせていただきました。
以前は「日本の代表作家として海外の展覧会に出しませんか?」
みたいな勧誘が多かったですが、今回のようなのは初めてでした。
投稿: SHU | 2013年12月 3日 (火) 17時33分
くろ 様
コメントありがとうございます。
昔は大きな団体でも出品作家名簿なんてのが普通に手に入ったので、この手の勧誘も多かったですが、最近はさすがに電話での勧誘は少なくなりましたね。
それに変わって今ではネットを通じて似たような「お誘い」が来たりもしますが、それにしても「検索をかけられると、すぐに正体がばれる」と言うことがわかって来ているのか、昔に比べたら、だいぶん下火になって来たような気もします。
そう言えば、最近は外国からも「(高額な)エントリー料を支払えば、海外のギャラリーで個展ができたり、本に掲載しますよ」的な勧誘もあるみたいですが...これも実体が判らないので要注意かもしれません。
投稿: 中野 | 2013年11月 5日 (火) 11時09分
たった今、同じ内容の電話があり、ネットで検索していたらこちらのページに、たどり着きました。
年に数回ほどこのようなお誘いがありますが、今回の金額は8万6000円だそうでした。
そんな余力はないので、丁寧にお断りしました。
今の時代、電話中でもこうしてすぐに調べることもでき、勧誘する方もなかなか大変ですね。
ありがとうございます。
投稿: くろ | 2013年11月 5日 (火) 10時35分
老父を心配する愚息 様
コメントありがとうございます。
全てが全て悪い雑誌だとは思いませんが、「掲載料がかかる」という本は基本的に疑ってかかった方が良いかと思います。
一般的に雑誌という物は、広告収入と本体の売り上げで成り立つ物のはずですから、
「掲載料を取る=売れる見込みがない=広告収入も期待できない」
という図式が成り立つんだと思います。
で、やっかいなのが他の詐欺と一緒で、一度どこかに載せてしまうと他の出版社も「こいつからは金が取れる!」と思われて、次々と勧誘が来てしまう事です。
まだ聞いた事はありませんが、今度は「(個人の)画集を作りませんか?」なんて話が来て、また法外な値段...なんて事もあり得なくもないので、じゅうぶんお気をつけ下さい。
投稿: 中野 | 2011年11月20日 (日) 17時33分
父が嬉しそうに掲載雑誌を送ってきました。怪しいと思って検索して、この記事にたどり着きました。
今までも何度かこの類いのものに金を巻き上げられているようです。
情報ありがとうございました。
投稿: 老父を心配する愚息 | 2011年11月20日 (日) 09時17分