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2011年9月27日 (火)

現地調達、そして現地生産という構図。

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歴史的な円高が続き、輸出関連の製造業者が、軒並み海外進出を検討し始めている昨今、カトマンズに行っている画廊のオーナーさんからこんなメールが届きます。

「地震は問題無し。
一応、F20--1600円 F10--1000円 にてこちらで調達。...」

文脈から察するに、油彩額の話であることが判明したが、改めてその価格の安さに驚きます。


ガラス入りということであれば、日本でならどんなに安くてもこの2〜30倍の価格かな。

2〜30倍!

単純にこれだけで物価指数を比較するのは危険だけれど、「油彩額」がある意味、贅沢品であると考えた時、物価にはそれ以上の開きがあり、それに比例して人件費なんかも驚くほど安いのではないか?と考えてしまいます。
そうなれば、日本の製造業がその拠点を海外に移して行く理由も当然納得。
(ただそれでも全然安くならない自動車や家電の定価には、全く納得いきませんが。)

私の絵にしたって、定価30万円の作品を彼の地に持って行って売ると考えると、価格もやっぱり20分の1にしなきゃならない訳で、という事はせいぜい1万5千円ぐらいになってしまい、これでは手数料と材料費をひいてしまえば儲けなんか無くなる訳で、それならいっそ、私ごと現地に行って、安い材料を仕入れ、安い家賃のアトリエを借り、安い食材で飯を作って食べながら制作した方がずっと効率がいいのは明らかで、さらにそれを日本に持ってきて"日本値段"(なんならその半分でもかまわない)で売れば本当に大儲けであります。

...真剣に迷ってしまいます。

今まではどの先進国も、海外から安いものを仕入れ、そこそこの値段で売ったり買ったりしてみんな喜んでいました。
ところが、気が付けばどの先進国も、今までは優越感さえ醸していた自国の物価と人件費(=給料)の高さによって、逆に首を絞められ、身動きが取れず、窒息寸前になっているような気がします。



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/

Shuichi NAKANO official website / English edition
http://homepage.mac.com/sekainokakera/eng/top01.html


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