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2011年6月15日 (水)

アートが生きる!ーアルテピアッツァ美唄

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札幌での展示、そして搬出を終えて向ったのが、この「アルテピアッツァ美唄」。

ただ恥ずかしながら、そう言う名前を聞いていて、そう言うモノがある、という事はかろうじて知っていましたが、具体的に何がどんな風にあるのか、予備知識すら全く無く(いや、精確には忘れていたのだと思う)、ただ妻が旅立つ前に作ってくれた旅行用の資料を眺めながら、いそいそと車で出かけて行きました。

そして車を駐車場に入れて向った先には...

まさに驚きの空間が待っていました。

ただ、この先はネタバレですので、楽しみを取っておきたい人は「続き」は読まない事!

あえて一つだけキーワードがあるとするなら、それは「平日の午前中」でしょうか?

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駐車場を出て一枚目の写真にある丘を登りきると、目の前にこんな風景が広がっています。
(本当はこの丘の上にも作品があるんだけど、それは割愛。)
古い学校のような校舎とちょっと離れた所に見える体育館のような建物(この写真左隅。切れちゃっててすいません)の間に見える白い丸い池みたいなものと野外彫刻らしいものを見つけて、ようやくここが安田侃(かん)と言う彫刻家の作品が展示してある美術館だと言う事を思い出しました。

たぶん家族で帰省する際、妻が「こんなのがあるんだよね。」と気を利かせて、本か何かを見せてくれていたのでしょうが、いつもの如くそんな話も右から左へとスルーしていたようでしたが、この野外展示を目にした瞬間にいろんな事を思い出した訳であります。

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という事で、ほとんど予備知識の持ち合わせのない私は、まずは左手にある体育館(たぶん)へと向います。

入口横から人の声は聞こえるもののカーテンの降りたまま受付をスルーし(入場無料)中に入ると...

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こんな風に贅沢に空間を使って、作品が展示してあります。
後付けのような雰囲気もある二階部の貼り出しテラスには、作家に関する資料などが置かれ、ゆっくりと閲覧する事ができます。

で、この時、忘れなかったら、この体育館の天井もご覧ください。なかなかステキな造形ですよ。

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ここを出て野外展示を眺めながら、廃校の校舎らしい建物の方へ。

非常要階段にしては妙に立派な造りの螺旋階段を横目に、正面玄関らしい方向へ歩みを進めていくと...

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なんと、そこは幼稚園!!

だから、この周りを駆け巡っていた子どもたちの集団は、遠足で遊びに来たのではなく、ここの幼稚園に通っている子どもたちでした。

ここで問題!

じゃあ、この建物全体が幼稚園??
でも、それにしちゃ大き過ぎます。この地域の人口を考えると、正直この一階分だけでも、広過ぎるくらいな感じ....

そう考えながら、「ひょっとして...」と思い、先ほどの螺旋階段のところまで戻り、そこを昇っていくと...

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予想通り、こちらが美術館の入口でした。
扉を開けた所、左側の教室が受付事務所(入場料は無料)。
ちなみに入口で靴を脱いでスリッパに履き替えるんですが、その下足棚は...

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見て判る通り、最初から長靴OKの高さになっていて、なぜか実際長靴が置いてあります。
これは想像するだに、たぶん天気の悪い時に来た来場者に野外展示を観る際に貸し出す為のものなんじゃないかと思います。
見える所だけでも4、5足の長靴があって、その時、館内にいたのは受付の方2名ほどと私だけだったので、たぶんこの想像は間違いないと思いますが、もし気になる方は会場で聞いてみて下さい(笑)。

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こちらの方も「撮影OK」ということで、というか受付の方に尋ねた所「どんどん撮って下さい!」的ニュアンスの答えが返って来たので、「どんどん宣伝して欲しいのかな」と勝手に解釈し、それじゃあ、という事で撮影しまくりました。

それにしても作品が良くて、それを置く空間(建物)が素晴らしいと、ただシャッターを切っただけでも良い写真が撮れたような気がして、自分の写真の腕も上がったのかと錯覚し、デジカメのプレビュー画面を見ながらほくそ笑んでいました。

天井が無かったり、普通なら体育館の壁にあるような校歌の歌詞パネルが廊下に展示してあったり、よく見れば建物自体にもだいぶん手が加えられているようですが、一方で、コート掛けのあった辺りに記名シールがそのまま残されていたり、当時を忍ぶものもたくさん残されています。


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みんなで集まって雑談する子どもたち
誰かを見つけて、廊下でニコッと笑みを浮かべる子ども。
居残りさせられて、肩を落としている子ども。
かくれんぼの途中で暗がりに隠れる子ども...

教室や廊下に点在する作品群を眺めているうちに、作品自体がそんな当時の子どもたちの姿を投影しているようにも見えて、どこか懐かしささえ感じる事のできる美術館。

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で、二階展示スペースの奥の階下へと続く階段なんですが、通常、下に幼稚園がある事を考えると「立入り禁止」が当たり前、と思うのですが、そんな表示も見当たらず、階段を下りていくとその下にも作品があり、さらに驚いた事に...

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幼稚園の正面玄関中央にも作品が...!

通常、幼稚園児の天真爛漫さと言うか、傍若無人さを想像すると、考えにくい設置位置ですが、その彫刻作品はそこに堂々とありました。

うちの子どもも小さい時から、時々美術館に連れて行きましたが、入場拒否こそ無いものの嫌な顔をされるのがほとんどの昨今にあっては、想像すらしなかった展示方法です。
ただ彼らにとってはすでに日常の風景と化しているせいか、その辺に転がっている石ころ以下の関心すら無いようでしたが。

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そして外に目を転じれば、そんな野外彫刻に乗っかって遊んでいる子どもたちの姿が見えます。
よくよく考えればこんな贅沢な空間は無いんじゃないかと思います。

たぶん昔はこういった役目を身の回りにあった「自然」が果たしてくれていたのでしょうが、気が付けばそんな自然からすっかり遠ざかってしまった今の私たちには、こういった人工物(例えば巨大遊具なんかも)で肩代わりをしてもらわないと行けなくなったのでしょう。

それ自体憂慮すべき事ではありますが、どうせ同じ人工物なら、どこにでもあるような遊具とともに、こういった芸術家の手による何かがあっても良いのかもしれません。

そして作品自体も、どこかの養護学校の展示の様に、ただ崇められる存在かの如く天高く展示するよりも、もっとそこに生活する人の身近に寄り添ったような作品だったり、展示方法であるべきじゃないかと、ふと、思ったりした訳であります。

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そんな事を考えながらくつろいでいると、遠くから子どもたちの声が響いてきます。

すると不思議なもので、とっくに廃校になってしまったこの学校が、再び息を吹き返したかのように思え、ふと振り返れば、廊下や教室を走り回る子どもたちの姿が見えるような気がします。

昨今、廃校を活かした様々な取り組みやイベントはあちこちであるようですが、どれもどちらかと言えば単発的だったり、ただ味わいのある空間を自分勝手に演出するだけだったり...

結果的にそうなっただけかもしれませんが、こんな風に子どもたちが通っていた当時を再現しつつ、新しく生まれ変わったこんなステキな廃校を、まだ私は観た事がありません。

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最後になりましたが、裏山の笹薮の中にも作品があるのですが、こんなモノがあって、笑っちゃいました。が、よく考えると結構怖い話でもあります。
まあ、ぶっちゃけた話、芸術作品を鑑賞に行った先で、野生動物に襲われる危険性のある場所なんて、世界広しと言えど、なかなか無いんじゃないでしょうか?

それはまあ、余談ですが、ぜひここに行くなら天気の良い日で、しかも平日(夏休みや冬休みを除く)の午前中(子どもたちのいる時間)に行くと、特にステキな体験のできそうな美術館でした。

以上、長くなりましたがこの辺で。




中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/

Shuichi NAKANO official website / English edition
http://homepage.mac.com/sekainokakera/eng/top01.html


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