作品解説/その7
そばに行こうか?
どこかで心惹かれる樹をみつけたとしても、いつだってそばに近づける訳じゃない。
深い笹薮の真ん中に立っていたり、広大な畑の真ん中だったり、ろくな道も無い山の中だったり。
だからと言って無理して近づいてみたら、最初の感動とは程遠いモノになってしまって、ガッカリするなんて事もある。
結局の所、この距離感も含めた全てが「モチーフ」なんだろうと思う。
「もっと近づきたい!」という気持ちも含め...

朝日のあたる場所から
見て判るかもしれないけれど、震災の後に描いた作品。
「春だから」と言う理由の他に「この震災があったから」と言うのも、「展覧会をもう少し明るいモノにしよう」の方針変更をした理由の一つ。
そう言う割りには充分暗い絵であるし、私自身、「この絵を見た誰かが救われるだろう」なんて事はこれっぽっちも思ってはいない。
「何となく怯えている自分」
「今だ誰かのために何もできない自分」
「何もしていない言い訳を探す自分」
言うなれば、この作品は「そんな自分を隠すための箱」なのだろう。
そんな箱に収めて海の底深くにでも沈めてしまえば、少しは気持ちが楽になるのかも知れないが、海賊ディビー・ジョーンズのハート(心臓)と同じく、どこに隠そうがそれは結局、自分自身であり、間違いなく自分と繋がっていて、断ち切る事などできない。
そしてまたいつかその箱は開けられ、私は目をつぶってきた「私の部分」と対峙しなければならないのだろう。
しかしながら、そんな対峙さえも作品にしてしまおうと画策している「作家根性」が自分の中に垣間見えて、我ながら呆れてしまう。
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