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2011年3月10日 (木)

昔、あるグループ展にて

11031001
京都に住んでいた頃のお話。(上の写真とは一切関係無し)

とある方からの声かけで参加した、関西在住の若手作家の招待展のプレオープニングとレセプション時の事。

京都市内にある廃校になった小学校を改築して建てた展示スペースに、二週間ほど作品を展示するのですが、その際、会場係のボランティアの方が、「ある程度作品について説明ができるように」と言う趣旨で、事前にそのボランティアの方々と作家が一緒に会場を回り、自分なりに作品を解説して行くと言うイベントでした。

昔から、そういうのが苦手な私の説明を聞いた後にも、特に質問もなども無く、ホッと一安心すると言うより「みんなそれほど興味がないのかな?」と少々拍子抜けだった事を憶えています。

一転、不思議な形の立体造形物を展示していた作家さんの所では、色々な質問が飛び交います。

A氏「この形は一体なんですか?」
作家「ビルとビルの間にできた空間の形です。」

B氏「素材は何でできてますか?」
作家「私の描いた図面を元に、業者で作ってもらいました。木材です。」

C氏「ずいぶんきれいな塗装ですね。これはご自分で?」
作家「いいえ、塗装も業者さんにお願いしました。」

ひょっとしたら彼女は「物を作る事があまり好きじゃない」のかもしれない。
それでもこの女性はちゃんと「作家」さんなのである。

今の時代、自分の手で作品を完成させ無くとも、コンセプトさえ自分で作れれば「作家」になれるのかもしれません。


私も(造形)作家にはなりたいけれども、

「自分の手を使って作品をつくらない人生なんて、オレはつまらないなぁ」

とその時、思ったのでありました。



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/

Shuichi NAKANO official website / English edition
http://homepage.mac.com/sekainokakera/eng/top01.html


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