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2010年12月19日 (日)

未発表作品とはなんだろう?

10121901
昨日、この度入選させて頂いた「2010あさご芸術の森大賞展」の事務局から一通の手紙を受け取ります。

中を見て、ちょっとビックリ!!

「あさご芸術の森大賞展入選の取り消しについて」

そのただならぬ表題に、慌てて本文に目を通してみた所、

「(入選した)◯◯さんの作品がすでに発表済みの作品であった。そこでご本人に了解の上、入選を取り消しました。」と言う内容。

ここで、美術展とかにあまり縁のない人の為に簡単に説明しておくと、この「大賞展」のように賞金(賞品)を用意し、広く作品を公募し、審査する公募展(コンクール展)や、国画などの団体展などの出品規定の中に必ずある言葉が

「応募は未発表作品に限る!」という一文である。

まあ、単純に考えると、当たり前の事であり、克つわかりやすい一言ではあるのだが、実を言えば、モノ作りをしている当の本人から言わせると、ちょっと判断に迷う一言なのであります。

《明らかな事》
#1.公募展、団体展、グループ展、個展に入選、あるいは出品した作品
これは明らかに「未発表作品」ではありませんし、これは誰で容易に判断できるでしょう。

ところが...

《悩ましい事》
#2.1の発表した作品に手を加えて修正した作品は?
#3.公募展や団体展に出品はしたが「落選」した作品は?
#4.ネット上で途中経過を公開した作品は?
#5.同じくネット上で完成作として公開した場合は?

まずわかりやすそうな所から行きましょう。

#3の「落選作」については、これはその時点で各種メディアや名簿などに正式に名前が公開される訳ではないので未発表作品といえると思います。

#4と#5に関しては、ネット上で公開しているのはあくまでも「作品の写真」であって、作品の本体ではないので、未発表作としたい所ですが、#4は良いとしても、#5については意見の分かれる所だと思います。

で、作家としても選考する側としても一番悩ましい所が#2ではないでしょうか?

作品が「買い上げ賞」などにならない限り、入選作でもそれはやがて作家本人の手元に戻ってきます。また個展やグループ展に出品した作品も同様です。
そしてそれをしげしげと眺めているうちに「この色、赤にした方が良いんじゃないのか?」とか「ペンギンの数を増やしたら良いんじゃ何のか?」とか「キリンの首の向きをちょっと上に上げれば良いんじゃないのか?」などの改善点が見えて来る事があり、実際、そう言った修正を加える事があります。

絵の場合は加筆しても同じキャンバスの上ですが、それこそ版画などなら、版に修正を加えてからプリントすれば、別の新しい一枚が作れる訳ですし。

そしてそう言った修正を加えた作品は未発表作品と呼べるのか?という事です。

「それはただの修正だろ?」と言われるかもしれませんが、ちょっとした事で、作品の印象が劇的に変わる事もあります。
これに関しては要項の中に「明らかに同じ作品にしか見えない物はダメ」と書いて縛りを儲ける事は可能でありますが、これはあくまでも「印象」の問題ですから、ある人に取っては同じに見えても、別のある人には全然別物に見える場合もあり、ある意味、ここは作家本人が「ちょっと手を加えたら別の作品に生まれ変わった!だからタイトルも変えて出品した」と言い切ってしまった時、それを誰がどう判断すれば良いのかは、きっと誰にもわかりません。

私自身は他の誰が何と言おうと、作家本人が「違う作品である!!」と言い切ってしまえば、それは認めざるを得ないではないかと考えます。

善くも悪くも、その作品に全責任を負えるのは作家本人以外にいないのですから。



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html

Shuichi NAKANO official website / English edition
http://homepage.mac.com/sekainokakera/eng/top01.html


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