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2010年11月13日 (土)

ポスター展に参加する。/デジタルとアナログ

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突然、失礼!

何を隠そう、これもれっきとした私の作品。
もちろん、公募展や展覧会に出す訳でもないし、下手に販売などしようものなら、後ろに手が回る可能せいもある作品だから、当然プライベートな使用目的で描かれた物で、これは確か当時、ウルトラマンが大好きだった甥っ子の誕生日のために描いた物だったと思います。

描いたきっかけは、昔々、戦車や飛行機のプラモのパッケージ画で活躍されていた方が、同じようなタッチでアニメの世界を描いた絵があって、その感じがずっと頭に残っていたから。「いつか私もそんな物を油彩画で描いてみたい!」と思っていたのが、ここで現実となった訳です。

で、100%油彩で描いたこの作品がどんな風に「デジタルとアナログ」という話になって行くのかというと、それはある意味、一発で億万長者にならなかった「ワラシベ長者」みたいに、段階を踏んで進んで行く話なのであります。




今年の夏頃、地元の美術館で、こんなウルトラマンや仮面ライダーなどの特撮ヒーローの世界をモチーフに描いた展覧会を観てきました。
その方はその筋では超有名な方で、本の表紙やパッケージ画を描いたりしていて、作品自体はデジタルで完成させた物ではありますが、その筆跡の様なタッチが残るマチエールがスゴく気になって、観に行った次第であります。
実際、自分でも訳あって、撮ってきた写真などを「手描き風」に加工するためにデジタルを使う事があるんですが、ボタン一つでキャンバスに描いたような質感が出たり、水彩のようなにじみとか、筆やコンテで描いたような線がかけたり、面が塗れたりする訳ですから、スキルさえあればこっちに転校しようかな、と思ったりもします。

そんな訳で、その展覧会に行って作品を見た訳ですが、実際にプリントアウトされた作品を見て、ちょっとガッカリ。
何故かと言えば...

描いたタッチ通りのマチエール(デコボコ感)が全然ないんです。

ちょっと考えてみれば、どんなに拡大されていようとも「印刷物」な訳ですから、そんなデコボコ無いのが当たり前なんですが、「作品展」と聞いた時点で、無意識のうちにそんな質感のある絵を想像していたのであり、その点で作家さん自身にはもちろん何の落ち度も無く、勝手にそんな作品を思い描いた私に非があるです。

でもその時、吹き出てきた疑問は

「(彼らに取って)オリジナルの作品とは、どの部分をさすのだろうか?」という事。

例えば、本の表紙として描いた作品はその印刷物が「作品」なのだろうか?
だとしたら、そこに一緒に印刷されたタイトルなどの文字も含めて「作品」なのか、否か?
そのデジタル画を大きく引き伸して、ポスターなどにした時点で、それはすでに「複製」なのか?
はたまた、モニターで見る「画像」こそがオリジナルなのか?
それともファイルとして保存されたデータがオリジナルなのか?

たぶんその辺りの見極めが、自分の中で全然ついてないので、自分自身では「デジタルの作品」を作らないんだと思います。
それ以上に、無意識のうちにまでマチエールを気にして描いている私にとっては、それが手に取れるような印刷物になった段階で、フラットになってしまう事が許せないのかもしれません。

実際、今時、前述のような作品を油彩で描くような人はほとんど皆無であり、「デジタルで平面作品を作る」作家の割合はこれから、どんどん多くなって行くでしょう。

そしてそんな事を考えた時、この11月13/14日の両日に京都で開催されるFavorite CREATORS 2010の出品は、「ポスターの展示」という事で正直迷いました。(詳細はコチラ

デジタルの作家の方はそのサイズに合わせて、オリジナルの作品を作る事ができるかもしれません。
しかし私のような油彩画家にとっては、印刷物になった時点で、それはただコピーでしかないのです。

そう考えると、ある意味ハンデを背負っての参加ではありますが、以前の「海外のサイトの件」もそうですが、それが例えデジタルであったにしろ、何かの形で紹介され、誰かの目に触れる機会を頂けるという事は、それ自身とても素晴らしい事なんだと思います。
残念ながら現場に行けない私には、どんな反響は返って来るのか、想像する事すらできませんが、見た人の心に少しでも何か残す事ができたら、良いな!と思う今日この頃であります。



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html

Shuichi NAKANO official website / English edition
http://homepage.mac.com/sekainokakera/eng/top01.html


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コメント

中村晴信 様
コメントありがとうございます。

私は当時「メカものイラスト」ばかり描いていまして、その頃は、まさか今みたいな風景画を描くようになるなんて、夢にも思ってもいませんでした。

そう考えるとホント、人生なんか判りませんね。

アートダイブの方、見つけてくれてありがとうございます。

このアートダイブを企画しているサイトの方に、私も作品を投稿してるんですが、デジタルメディアにはやはりデジタルの方が親和性が高いのか、始めた頃に比べると、デジタルアーティストの割合が増えてきています。
そんな中では「異分子」のような存在だと思っていたので、こんな風に選ばれる事自体、なんかとても不思議でした。

会場には行った事が無いので判りませんが、きっとコミケとフリマを足したようなイベントなんでしょうね。

私みたいなオッさんはたぶん場違いなんでしょう。
しかしそれでも何かと関わりつつ、作品を発表する機会を得たいと思う今日この頃です。

投稿: 中野 | 2010年11月18日 (木) 13時45分

プラモデルのパッケージ専門のイラストレーター、浜松に住んでいた頃に出会ったことがあります。
その方は主にタミヤの仕事をされてるようでした。仕事では軍艦やゼロ戦、帆船などの絵が主で、個展の時は古民家を多く発表されてました。
当時、メカを描くのが好きだったらそちらの方へ行っていたかも知れないことを、この日記を見ながら思い出しました。


アートダイブ、今、見てきましたよ!

すぐに発見出来ましたsign01
洋画系の絵も、少しありました。やはり主にイラスト系、そして工芸系で占められていました。
若い人たちが多いのが印象的でした。

投稿: 中村晴信 | 2010年11月14日 (日) 13時32分

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