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2010年7月28日 (水)

驚愕のファミレス

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今では考えられないくらい真っ赤だったナポリタン。
水の入ったコップに立てられたスプーン。
三角形みたいに折られた紙ナプキン。
魔法のランプみたいな形の器に入れられ、やって来たカレールー。

子どもの頃、ワクワクしつつ、何を食べようかと悩んだ百貨店のファミリーレストラン。

平成になった今では、こ洒落たレストランに化けるか、はたまた廃業するかで、もうそんな物はどこにも残っていないのだろうなと思っていたら、こんなところにありました

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「デパート」と言うよりは、関西などで時々見かける問屋街を思わせる店内には、人もまばら。
正直、このデパートが未だに残ってちゃんと営業している事自体が、にわかに信じられないくらい旧態依然とした佇まいに「こんなところで御飯が食べれるの?」と言う疑心暗鬼は深まるばかり。

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エレベーターを下りた先に並ぶのは上の写真のようなショウケース。
こんなのが2基もあって、所狭しと並ぶサンプルに、そのメニューの多さに加え、その価格の安さに圧倒されます。
(ただ、上段の方は間違いなく子どもの背丈では見えません。)

外のアーケード街や他のフロアーの静けさとは裏腹に、異常な熱気と盛り上がりを見せるレストラン。
「喧噪」と言っても過言ではない店内は、まるでアジアの市場にでも迷い込んだ様な雰囲気で、軽い目眩も...
(というのは、ちょっと言い過ぎ?)

カルボナーラ、カツカレー、ナポリカツ(?)という三品で1500円強という食券を握りしめ、空き席を見つけて座ると同時に、配膳係の人がやって来て、半券をちぎって立ち去っていきます。

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眼下に見える商店街の静けさとの対比を再確認しつつ、待つ事数分....。
次々と注文した食べ物が運ばれてきます。

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要するに「ナポリタンのカツ載せ」で「ナポリカツ」。
そんな学生街の食堂みたいなノリのメニューのラインナップも驚きですが、さらにこの量には目を疑います。
これで500円ちょっとですから、「適正価格って一体ナニ?」って、思わず叫んじゃいそうです。

この色からもご察しの通り、結して舌がとろけるようなお味とか南仏プロヴァンスに吹く涼風のような味では、ありませんが、口の中にガツンと来る味わいではありました。

で、想像以上にリーズナブルな価格に調子に乗ってデザートまで頼む始末。
そしてこれこそがまさに...

驚愕の最終兵器!!でありました。

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一度、その均衡を失ってしまえば、倒壊してしまいそうな危うい高さに、どこからどう手を付けようかと考え込んでしまいます。

この大きさで 140円 ですから、もう何も言う事はありません。黙って食べるのみです。

そのデカさに興奮し、ほとんど訳が判らなくなってしまった我が子は、この「ピサの斜塔」にも似た本体にいきなりかぶりつこうとする始末。
慌ててそれを制し、手近の割り箸ですくって食べさせようとする私ですが、その私も興奮のあまり(?)手元が震え、思わず多めにすくってしまったソフトを、頬張ってしまった我が子の顛末は、想像するまでもなく、右の写真の通りであります。

この時は、家族でシェアして食べましたが、甘さ控え目なんで、お腹にさえ自身があれば、一人でも十分イケル味です。

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もちろん御飯をここで食べるためだけに、わざわざここまで出かけた訳ではありませんが、他に見たもの、体験したものが霞んでしまうほど、強烈なファミレスでした。

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で、ここがどこかと言えば、「宮沢賢治」で有名な岩手県は花巻市にあります「マルカンデパート」と言うところでありました。



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html

「世界ノカケラ 第二章」/このグループ展の情報はこちらから
http://www.sekainokakera.com


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美味いもん」カテゴリの記事

コメント

ひでさん 様
コメントありがとうございます。

ご察しの通りの百貨店です。

本当に、こんな店がまだここに残っているのか!!
と言うくらい衝撃的で、この周りの商店街とかが、人影も疎らだったため、余計にそのコントラストが強烈で、印象的でした。

みんなここで御飯だけ食べたら、あとはどっか別のところに行っちゃうのでしょうか?

投稿: 中野 | 2010年7月30日 (金) 11時11分

つつじのとんねる 様
コメントありがとうございます。

本当に、いつも面白い表情をしてくれて、我が子ながら楽しませてもらっています。
今のところは大丈夫ですが、でももうそろそろ嫌がるかなぁ...。

自分の小さい頃を考えると、いつしか、親の前で笑うのも、なんか恥ずかしくなって、やめちゃったかな。

そう考えると、そろそろこんな風に掲載するのも限界ですね...

こればっかりは寂しいですが、仕方がありません。

投稿: 中野 | 2010年7月30日 (金) 11時08分

花巻マルカンデパートかな?ここだけ昭和から時間が止まってる雰囲気でした。現行で、このデパートって驚きです。

食堂に集まる人も老若男女、偏ることなく来るので驚きです。

投稿: ひでさん | 2010年7月30日 (金) 08時50分

おもしろいです。
息子さんの表情がとってもイイです☆

投稿: つつじのとんねる | 2010年7月30日 (金) 00時35分

おばら 様
コメントありがとうございます。

大手の百貨店よりも、地域限定の百貨店の方が、そう言う所がまだ残っているのかもしれませんね。
ただそう言った百貨店自体がどんどん姿を消している現状では、一緒に消えてなくなっていく数の方がはるかに多いんでしょうね。

全国のこういう店だけを集めた写真集とか、ガイドブックがあれば良いのになぁ...。

投稿: 中野 | 2010年7月29日 (木) 08時41分

私もレトロなレストランが好きなんですが、
東京の大森にあるダイシン百貨店の食堂も、
こんな感じに近くて素敵ですよ。

投稿: おばら | 2010年7月28日 (水) 22時16分

はるさん 様
コメントありがとうございます。

ここに来ると、懐かしさよりも、その活気に驚き、圧倒されてしまいます。

「よくぞ、今まで持ちこたえたものだ...」

と思いつつよく見ると、サンプル棚にメモ帳がぶら下げてあったり、その時々のニーズに対応した新メニューが追加されていたりと、雑然とした中にも、様々な工夫が凝らされているのが、生き残りの秘訣なのかもしれません。

ただ時代の最先端を追いかけるようなモノも悪くはありませんが、生きて来た時代の良さを残しながら、進化していくこの姿にこそ、共感してしまいます。

投稿: 中野 | 2010年7月28日 (水) 19時37分

写真や日記を読ませてもらいながら、子供の頃に親と一緒に行ったデパートのレストランを思い出しました。

今でもあるんですね!こんなに昭和の香り満載な所が!!

特にソフトクリームはかなりそそりますね♪
これで\140は、すご過ぎる!

投稿: はるさん | 2010年7月28日 (水) 15時32分

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