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2010年6月10日 (木)

西脇市の個展/作品解説「雪の影」

10061001
雪の影/F30号(73×91cm)/2004年作/480,000円

これも市販のキャンバスに油彩で描いた作品。
この樹はもちろん実在する物で、道東の知床半島にある知床自然センターからフレペの滝が見える展望台へ行く途中で見つけました。
行ったのは正月三ヶ日で、毎年ならもっと雪が多くて、普通の装備じゃ入れないような所なんですが、この時は運良く雪も多くないうえに、硬くしまっていたので足下を取られる事もなく、ここまで辿り着く事ができました。

ちなみにここから戻る途中の林の中で、大量の鹿に行く手を阻まれると言うハプニングもありました。
この辺りの鹿はスレテないというか、人懐っこいというか、何しろ私たちが間際まで近づいても、逃げようともしませんでした。さすがに奈良公園の鹿の様にエサまでねだるという事はありませんが。

この絵に関していえば、描き始めはもっと普通の風景画になる予定でしたが、描き進めていくうちに、吹雪いてくるは、中景はどんどん見えなくなるわで、結果的には自分の予想図とは違う方向に進んでいきます。
よく見れば足下に積もる雪は下地のピンク色のままだったり。

で、なんでそうなったかという事を自分なりに分析してみると、たぶんこの絵の描き順に関係があるような気がするのです。
セオリーからいえば、背景の空を描いてから、その上に重ねるように樹を描いていくのが、順当である意味真っ当な描き方です。

ところがこの絵の場合、樹の形がある程度完成した段階で、最初に塗った空の色を変えたくなってしまい、だからといってせっかく描いた樹の方を塗りつぶすのも嫌だったので、この樹の方に色がはみ出さないように細めの筆を併用しながら空の色を塗り直し始めました

すると不思議な物で、この絵に着手し始めた頃の自分の意識は「樹を描いている」だったのですが、そうやって描き進めていくうちに

自分が本当に描きたかったのは樹の周りを取り囲む空間の方なのかもしれない。

という事に気が付いたのです。
そうなると、もともと雪の散らつく風景でしたから、遠景や中景は霞んでくるし、眺めている自分とこの樹の間にも当然雪が降っている訳ですから、その間にある「空気感」みたいなものも描こうとして、結果、樹の方もぼやけて来ます。

だから絵のタイトルも「樹」ではなく「雪の影」となっていった訳です。

そして今だから言える事なのかもしれませんが、この作品は、私が雪景色を描く時の心構えが大きく変わった転換点のような作品だったのかもしれません。



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html


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