最後のマンガ展
仙台へ行った、もう一つの目的はこれ。
井上雄彦 最後のマンガ展/最終重版
今更私が説明するまでもない展覧会で、各地を巡回して「最終」の仙台展(と言いつつ、これが最後じゃないかも)らしいのですが、何しろスゴい混み様で、日にちだけでなく時間帯まで設定しての前売り券販売まで行うほどの話題の展覧会です。
何しろ作家本人が会場に合わせて、作品を作り続けるので、移動展のごとに内容がちょっとずつ更新されるため、中には全ての会場をハシゴしている人もいるとか。
10時から12時の時間帯を予約していた私たちは、仙台に着くとそそくさと会場へ向かいます。するとその建物の向かいの遊歩道がとれるほどの広い中央分離帯にこんな大きな看板を発見!!否が応でも盛り上がってきます。
チケット片手に会場へ行くと、モギリの手前で整列。快適な環境で鑑賞できるようにとの配慮のため、人数制限が設けられ、(たぶん退室状況も見ながら)10人ぐらいずつの入場です。
この配慮が功を奏し、気持ちよく見て回る事ができました。ただ、だいぶ照明が落としてある上に、二カ所ほど真っ暗な部屋もあるので、子ども連れや、ベビーカー同伴や車いすなどでお越しの方は、ちょっと気をつけた方が良いかもしれません。
この入場方法はその他の展覧会も見習うべきかもしれません。少なくとも炎天下の前庭で1時間も待たされるのに比べたらはるかに楽です。
「時間まで決めなきゃならなくて面倒!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、映画やコンサートだって、日時を決めてチケットを買ったり、時間に合わせて会場に行ったりする訳ですから、それと比べれば大差はありません。少なくとも幾重にも重なる人垣の間から、作品を垣間見なくても済む訳ですし、特に子どもなど背の低い方のためには、良い方法かと思います。
さて、その展覧会の方ですが、基本は漫画「バカボンド」の生原稿の展示があって、その間あいだに、水墨画風に描かれた、作家本人の手によるイメージイラスト風のタブローが掲げてある、と言った感じ。
て、言うかこれは水墨画「風」というよりはまんま「水墨画」なのかも知れません。ただ私たちが普段目にする「水墨画」とは方法から趣まで異なるので、「風」といってしまいましたが、こういう風に描かれる事で、また新しいスタイルが確立されて行くのかもしれませんね。
一枚ずつ拝見しながら、その迫力に圧倒されます。エネルギーがみなぎると言うのかほとばしるというのか...。
生原稿の方は、一見すると、人物などのストーリー展開に不可欠な部分に目がいってしまうのですが、よくよく眺めていると、その背景を支えている、なんて事のなさそうな、墨で荒々しく描かれた(塗られた)太く力強い線(面)がスゴく生きているように見えるのです。
一方、タブローの方はそれとは対照的で、ひょっとしたらドーサ液もひかれていないんじゃないかと思われる下地の布に描かれたりするので、かなり澄みがにじんでしまい、原稿のような強い墨色が乗らず、結果、全体的に淡い色調に仕上がっていて、それがちょっと幻想的と言うか夢の様なというか、言葉はともかく、原稿の方とは対をなすような感じなのでした。
会場内の至る所に、ちょっとした工夫がこらしてあって、それがまた「体感する」ようでもあり、楽しかったです。
「マンガ展」とはありますがただ生原稿を展示しただけのおざなりの展覧会ではなく、ちゃっと考え尽くされて出来上がった見応えのある「作品展」でした。
ただ、展覧会はともかく、ショップにあった商品はどれもお高くて、私の手の出るような代物ではありませんでしたが...。
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で、同じ建物内には、図書館もあって、子どもの方はそそくさと展覧会を見終えると、そちらの方へ。
そこから帰る間際、入口辺りでこんな物を見つけて手でさわっていると、突然!
「ここは児童書のコーナーです」
みたいな事を機械が喋り始めます。
よく見ると点字の表示もあり、目の不自由な方のための案内板のようなのですが。まさか喋り出すとは夢にも思わず、家族三人で目を丸くしていました。
都会にはこんなスゴい装置もあるんですね。
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html
http://www.ueno-mori.org/taisho.html
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コメント
natsuki izumi 様
コメントありがとうございます。
月並みな表現ですが、とりあえず、スゴい迫力でした。
あの大きさで迫られると....もうマンガじゃないですね。
投稿: SHUちゃんちゃん | 2010年5月 9日 (日) 03時59分
みたいですね!スラムダンクとか、バガボンド?の作者ですよね?すごくかっこいい絵ですよねーマンガもここまでくれば芸術ですよね。
投稿: natsuki izumi | 2010年5月 8日 (土) 10時11分