その人は気付かずに...
ギャラリートークの中で出たこんな台詞...
「今の日本で、これだけのスケールの作品展示を出来る女流作家は、彼女ぐらいですね...」
まあ、確かに美術館一つを丸々、自分の世界を作り上げてしまう人はなかなかいないだろうから、たぶん間違いではないのでしょう。
まるで外側から「これでもか!」と言わんばかりの勢いで、畳み掛けてくる様な勢いのある作品。
押しつぶされてしまわないように必死に耐えながらの鑑賞。
その時、ふと、この夏に福島で観たワイエス展の事を思い出します。
小さな作品を一つ一つ丁寧に並べて行く事も、確かに自分の世界を会場に展開して行く作業。
冷静に考えてみれば、派手さこそありませんが、「自身の世界を展開する」という点ではどちらも大差はないのです。
それ以上に恐ろしいのは、たった30センチ四方程度の作品一つの中に「世界」を織り込んでいる事実。
その前に立って静かに眺めているだけで、深みと奥行きのある世界が鑑賞者の中に広がって行くのです。
以前、その「スケール感のある仕事ができる作家」と言われた作家さん本人の話も伺いました。その時、その彼女は、
「学生の頃、周りの人が一生懸命、花や鯉を描いているのを観て、違和感を感じた」
と言っておられたのを思い出します。
そしてそれを聞いた私は
「この人は、美術館一館を貸し切って展開する様な世界を、ほんの小さなたった一枚の絵の中に表現できることを知らないのかな?」
と思っていたのでした。
例えばある人が描いた「火の灯るろうそく」のような作品の中にも...
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