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2009年3月 3日 (火)

どこかに迷い込むような感覚

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 3月に入ってからの予想外の雪。市内のあちこちの高校では、卒業式を迎えたようですが、そんな彼らの頭や肩の上にも容赦なく雪は積もります。

 今から20年程前、愛知県のとある大学で迎えた卒業式では、桜が満開だった事を思い出し、改めて日本列島の長さを実感したりもします。

 それでも今日の雪は、冬の最中のそれとはひと味違い、どことなく温かい雰囲気を醸しながら、静かに舞うように降っているようでした。

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 花 ま ん ま
 朱川 湊人 著/文藝春秋 刊

 ちょっと不思議な話を綴った短編集。
 ちょっとだけ昔の大阪の路地裏の片隅に迷い込んだような物語。そこでささやかに繰り広げられる出来事は、まるで現実の世界にある見えない程小さな裂け目から、その向こう側にある別の世界がにじみ出してできたシミのように、ちょっとだけ「妖しい」向こう側の世界をわずかに垣間見せてくれるのです。


 星新一さんや筒井康隆さんの短編集を無邪気に読んでいた頃は、「短編には必ず、落ちがある」と勝手に思い込んでいました。だから初めてヘミングウェイの短編集を読んだ時、何の落ちも無く物語は突然終了してしまい、肩すかしを食らったことを、今更ながら思い出します。

 こちらの方はいわゆる前者の方で、以前、同じ人の書いた「都市伝説セピア」という本を読んだのですが、いわゆるミステリーというか、ダークな落ちの用意された、背筋が少しだけ寒くなるような短編集でした。

 この「花まんま」というのはそれに比べると、幾分明るい、というか人に優しいと言うか、読後感の後味は温かい方だと思います。
 そこに描かれているちょっと不思議な話が、それぞれ少し妖しく非現実的な話にも関わらず、それが路地裏の片隅に溶け込むように展開される事で、妙な説得力を持って語りかけて来るのです。

 ちなみに私は「摩訶不思議」という一編が結構気に入っています。

 皆さんもいかがですか?




中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
  
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html

私の作品が西脇市サムホール大賞展に入賞しました。
  http://www.nishiwaki-cs.or.jp/okanoyama-museum/thumbhole/




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