割れた皿を直す/金繕い、後編

「金繕い」もいよいよ後編。プロから見たら「何をやってるんだ!」とお叱りを受けそうですが、所詮は素人仕事とお笑い下さい。それでは、早速、本編に入りたいと思います。
上のセットが「金繕い」の道具です。数年前に、あちこちさがして、結局大阪の「東急ハンズ」で手に入れました。
向かって右側の一番小さいケースには金粉が入っています。たぶん本物の金ではない、「金色の粉」ではないかと思います。その隣のチューブは合成漆、一番左端のが薄め液です。
「漆」と聞くとカブレが心配ですが、合成なのでそんな事は「たぶん」ありません。と言うか今までそんな症状は出た事が無いので、たぶん大丈夫だと思います。

基本的には合成漆に金粉を溶き、できた練り物を薄め液でのばして使うという所です。出来上がりとしては気持ち盛り上がるぐらいの粘性がベストだと思いますが、あえて一回目は少し緩めに溶いて作業を開始します。

筆を使って、継ぎ目をなぞる様に塗って行きます。塗るというよりは「書く」というのに近いかもしれません。
まずは裏側から。

実を言うとこれが薄めに溶いた理由。こうやって漆成分を染み込ませる事で、より隙間のない完全な接着を目指します。
もっともうす過ぎると、それに比例して接着力が弱くなるというジレンマも抱えてはいますが。

一度目の塗りが完了。
継ぎ目に流れ込んだ分、ロスがあるため、その部分では「痩せ」が生じて、継ぎ目が見えてしまいますが、これは仕方がありません。この辺りのさじ加減は微妙なので、そう簡単に上手くはいきません。
ここで一度作業を終了し、完全に乾燥するまで待ちます。本物の漆なら、10日とかの単位で待たなければならないそうですが、合成なので基本的には、一昼夜も置けば完全に乾きます。
ちなみにこの「本漆」ですが、他の塗料と大きく違うのは「湿度が高い方がよく乾く」というのです。だから昔は茶箱などの密閉した容器の中に水分を保持したまま乾燥させていたそうです。専門家じゃないからわかりませんが、ひょっとしたら湿度を高めてゆっくり乾燥させた方が、キレイに仕上がり、かつ塗膜も堅牢になるのかもしれません。いずれにせよ「湿気が多い方が良い」なんて、いかにも日本の風土にあった塗料だと思います。

明くる日、塗面の表面を耐水ペーパーで研磨してから、二度目を塗ります。残念ながらそれでも痩せてへこんでしまう所があり、薄め過ぎたと反省。おまけに塗料が余ってしまい、よせば良いのに絵を描いてしまいました。
本当に上手な修復ではこの割れ目を上手く利用して、素敵な作品に仕上げているものもあるのですが、これでは素人が慣れない事に手を出してはいけないという見本みたいですね。センスの無さが丸見えです。
これが本当の「蛇足」ですね。
合成漆なんで、さすがに汁物を入れる器などにはちょっと使用をためらいますが、それでも4年程前に直した皿は、今でも「取り皿」として現役続行しています。
もともとそんなに高価なものでもないので、こんな手間をかけるのもどうかと思いますが、趣味の一つと思えばこれもまた良し。
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