そこは桃源郷?MIDORI MATSURI・・・

行けども行けども人の気配はおろか、動物の姿さえ見当たらない。いつしか辺りを照らすのは車のライトと弱々しい星の光だけ。同じブースで出店のカフェのマスターと地図を確認しながらも、疑心暗鬼のまま車を進める。
そろそろ引き返そうか,なんて話をしていたら・・・

突然、大音響とともに眼下に写真のような光景が広がる。ちょっとした安堵感とともに、また別の種類の不安が心をよぎる。
あ、怪しい・・・。
この手のイベントに参加した事のなかった私にとっては、この雰囲気に当てられて、思わず後ずさり。マスターも右に同じな様子。

このままでは呑まれてしまう・・・すでにシグナル・レッドの我々は、この雰囲気にテンションを合わせるため脇目もふらず、アクセル全開でお店を設営。一度、フリーマーケットを経験した事があったおかげで、道具等の不足は無し。


遅まきながら20分ほどで設営完了。マスターは早く追いつこうと、一心不乱でハンドミルでコーヒー豆を挽き始め、私はできる範囲で怪しさを演出しようと、手持ちのろうそくにせっせと火をつけて、準備は万端。ビールや焼き物には敵わないものの、コーヒーも善戦しました。
しかし、いくら不便な場所でおつりが確保しづらいのも分かりますが、生ビールもジュースもワインもカレーも、どれも版で押したよう「500円」というのはいかがなものでしょうか?それに比べれば赤字覚悟の一杯200円のコーヒーは、良心的だったと思います。まあお祭り価格ですからね。ちなみに私の方で売れたのは石一個だけですよ。締めて200円なり。

そんな異質な彼らの多くは、せっせとそれを求めると同時に、心のどこかで「日本的な何か」をどこかに捨てたり、置き忘れたり、無理して消そうとしたり、そんな風に見えることがあるのです。そんな姿を見ていると、以前読んだ「コンタクト・ゾーン」(篠田節子
著)の中の「日本からの難民」みたいな言葉の意味が、前よりも少しだけ分かったような気がします。それが良いとか悪いとかじゃなくてね。何かちょっと寂しいような気がするんです。どんなに頑張っても日本人のルーツはやはり日本人?なのかな?

私たちはコーヒーの神の手による「カフェイン・マジック」とも言えそうな目に見えない不思議な力で、この夜一睡もする事なく、朝を迎える事ができました。清々しい湖畔の朝でしたが、ぼちぼち起きて来た人たちの中に、「夜明けのコーヒー」を求める姿はほとんどありませんでした。今にして思えば、みんなそれぞれにこだわりがありそうな人たちで、「美味しいコーヒー」よりも「自分の流儀にあったコーヒー」を求めているのかもしれません。
そんな様子に、戦意を喪失したのか、一気にモチベーションの降下した我々は日の出とともに、来た時と同様、早々と荷物をまとめ、その場を去りました。
荷物を満載した車を走らせ、カーブを二つ三つも曲がってしまえば、さっきの喧噪とは裏腹の、いつもの森が戻って来たように、辺りは落ち着きを取り戻し、遠くの山々に霧が立ちこめているのが見えます。そんな私たちの背後のどこかには、今も夢のようなお祭りに興じている人たちがいるのです。
そこを少し醒めた気持ちで立ち去ってしまった私は、もう一度戻りたいと思っても、二度とそこには戻れないような気がします。「桃源郷」の如く、例え祭りは永遠に続いていようとも。あるいは子どものときの夢を忘れてしまった大人のように・・・。


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