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2008年9月 6日 (土)

そこは桃源郷?MIDORI MATSURI・・・

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 もうすでに時計は19時を過ぎている。国道342号線を途中で折れ、街灯もまばらな狭い山道に車を進める。辺りはすでに獣たちの時間。

 行けども行けども人の気配はおろか、動物の姿さえ見当たらない。いつしか辺りを照らすのは車のライトと弱々しい星の光だけ。同じブースで出店のカフェのマスターと地図を確認しながらも、疑心暗鬼のまま車を進める。

 そろそろ引き返そうか,なんて話をしていたら・・・

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 突然、大音響とともに眼下に写真のような光景が広がる。ちょっとした安堵感とともに、また別の種類の不安が心をよぎる。

あ、怪しい・・・。

 この手のイベントに参加した事のなかった私にとっては、この雰囲気に当てられて、思わず後ずさり。マスターも右に同じな様子。

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 このままでは呑まれてしまう・・・すでにシグナル・レッドの我々は、この雰囲気にテンションを合わせるため脇目もふらず、アクセル全開でお店を設営。一度、フリーマーケットを経験した事があったおかげで、道具等の不足は無し。

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遅まきながら20分ほどで設営完了。マスターは早く追いつこうと、一心不乱でハンドミルでコーヒー豆を挽き始め、私はできる範囲で怪しさを演出しようと、手持ちのろうそくにせっせと火をつけて、準備は万端。ビールや焼き物には敵わないものの、コーヒーも善戦しました。

 しかし、いくら不便な場所でおつりが確保しづらいのも分かりますが、生ビールもジュースもワインもカレーも、どれも版で押したよう「500円」というのはいかがなものでしょうか?それに比べれば赤字覚悟の一杯200円のコーヒーは、良心的だったと思います。まあお祭り価格ですからね。ちなみに私の方で売れたのは石一個だけですよ。締めて200円なり。

08090605 参加しているバンドというかアーティストたちや、その場にたむろする人たちの多くは、アフリカ風と言うか、レゲエ調と言うべきが、どことなくちょっと異質で、大都会ならともかく、湯沢や十文字、秋田市内でさえ、彼らとすれ違えば、明らかに異質な雰囲気を持った人たち。でもそのすべてが「個性的」である訳ではなく、「異質さ」さえもそれが何かの模倣であれば、それは決して「個性的ではない」ということを教えられました。と同時に個性とはその人の表層ではなく、内面から発せられるオーラみたいなものだということも。

 そんな異質な彼らの多くは、せっせとそれを求めると同時に、心のどこかで「日本的な何か」をどこかに捨てたり、置き忘れたり、無理して消そうとしたり、そんな風に見えることがあるのです。そんな姿を見ていると、以前読んだ「コンタクト・ゾーン」(篠田節子 
著)の中の「日本からの難民」みたいな言葉の意味が、前よりも少しだけ分かったような気がします。それが良いとか悪いとかじゃなくてね。何かちょっと寂しいような気がするんです。どんなに頑張っても日本人のルーツはやはり日本人?なのかな?

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 私たちはコーヒーの神の手による「カフェイン・マジック」とも言えそうな目に見えない不思議な力で、この夜一睡もする事なく、朝を迎える事ができました。清々しい湖畔の朝でしたが、ぼちぼち起きて来た人たちの中に、「夜明けのコーヒー」を求める姿はほとんどありませんでした。今にして思えば、みんなそれぞれにこだわりがありそうな人たちで、「美味しいコーヒー」よりも「自分の流儀にあったコーヒー」を求めているのかもしれません。

そんな様子に、戦意を喪失したのか、一気にモチベーションの降下した我々は日の出とともに、来た時と同様、早々と荷物をまとめ、その場を去りました。

 荷物を満載した車を走らせ、カーブを二つ三つも曲がってしまえば、さっきの喧噪とは裏腹の、いつもの森が戻って来たように、辺りは落ち着きを取り戻し、遠くの山々に霧が立ちこめているのが見えます。そんな私たちの背後のどこかには、今も夢のようなお祭りに興じている人たちがいるのです。
 そこを少し醒めた気持ちで立ち去ってしまった私は、もう一度戻りたいと思っても、二度とそこには戻れないような気がします。「桃源郷」の如く、例え祭りは永遠に続いていようとも。あるいは子どものときの夢を忘れてしまった大人のように・・・。

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みどり祭本日まで開催中!興味のある方は是非どうぞ!

 引き続きウェブサイトに個展のDMを掲載しています。

 「中野修一公式サイト」のトップページにある「新着情報」からアクセスして下さい。

 郵送希望者も募集しています。同じサイト内の「問い合わせ」からメールいただければ、お送りします。9月中旬過ぎの発送を予定しております。もう少しお待ち下さい。

 なお、郵送の方は無くなり次第、終了致しますのであしからず。



雪梁舎フィレンツェ賞展の展覧会が始まりました!(〜9月7日)
  雪梁舎美術館(新潟市)のアドレスはこちら

  http://www.komeri.bit.or.jp/setsuryosha/



中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
  雪梁舎フィレンツェ賞展の入選作も公開中

  
http://homepage.mac.com/sekainokakera/index.html
  
ウェブ企画展『公募展入選作品展』好評開催中!

私の作品が西脇市サムホール大賞展に入賞しました。
  
http://www.nishiwaki-cs.or.jp/okanoyama-museum/thumbhole/


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