キャンバスを作る、その3
逆転の発想、ていうかケガの功名?のはなし。
その1でお話ししたようにキャンバスは濡れると縮みます。ということは乾くともとに戻るんです。そして木枠に引っ張られた分だけ、貼ったときよりもサイズが大きくなります。
すると上の図のように再びたわんでしわしわになってしまいます。
こうなると本当は膠の二度塗りの前に貼り直さなければならないのですが、130号というサイズが大きすぎて大変ですし、この暑いのにそんな事したくない、という訳でそのまま二回目を塗ります。
ここで「狭いアトリエ」というマイナス条件がプラスに働くのです。
本来、この手の作業はキャンバスを寝かして行ないます。「重力」という地球上では何者も逃れられない呪縛が、こんなちょっとした作業にも関わってくるからです。
重力で下へ引っ張られた液体は乾く前に下の方に流れていき、結果として下の方が塗面が厚くなります。そこでそうならないように寝かして塗ると、今度はシワの間に膠水が池のように溜まって、均等にぬれません。
しかしアトリエが狭い以上、私には「立てて塗る」という選択肢しか残されていません。そうすると重力問題はそのままですが、少なくとも膠水が池になる、という状況は避けられ、しかも貼り直しもないので、一石二鳥(?)なんです。二回目の膠塗りを始めます。
今回は前回と刷毛目が交差するように塗っていきます。今回は塗ったとたんに塗れ色になるのが正しいような気もしますが、実際は前回とあまり変わりません。ひょっとしたら前回の膠による目止めがあまり効いていないのかも・・・。
そうそう、膠塗りのときは決して膠水を泡立てないように気をつけて下さいね。
二度はお見せしませんが、塗り終わった頃にはやっぱり木枠がたわむほど布が縮んでいます。そして乾燥すると同じようにキャンバスはシワだらけになります。そして今度はいよいよ下地塗りです。
ということで今度こそは、キャンバスを貼り直さなければその作業にはかかれません。
なお参考にしている文献は、
美術出版社 刊 佐藤一郎 著
「新技法シリーズ 絵画技法入門」
ーテンペラ絵画と油絵具による混合技法ー
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