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2013年10月 2日 (水)
念願のリアル発掘体験!!
ある晴れた日の日曜日、湯沢市内某所、とある山中の今は閉鎖されている林道を、ハンマー片手に黙々と歩く何やら不可思議な一行。
彼らが向う先には....
化石の出る露頭が待っておりました。
一見、何の変哲も無さそうな岩盤で、普段なら絶対見過ごしそうですが、よくよく見るとあちこちに貝の化石が露出しているのがはっきりと判ります。
(上の写真の子どもの手のすぐ右側にも、大きな化石があるんだけど判ります?)
この辺りの地層は新生代の初期の頃の物で、時代的に恐竜の化石は出ませんが、当時この辺りは暖かい海だったらしくこんなのを始め、貝化石がたくさん出てきます。もちろん可能性的には魚類とか海生の哺乳類などの化石が出るかもしれないんですが。
まあ、そんな話はともかく、「貝化石」と言えばすでに男鹿半島の海岸で経験済みですが、そちらは「化石」と呼ぶわりにはあんまり「石っぽく無い」のと、「拾って採取するだけ」ということでイマイチ盛り上がりませんでしたが、こちらは本当の化石発掘よろしく「岩盤に取り付いて、ハンマーで崩して見つける」ということで、テンション上がりまくりでした。
ちなみに上の写真の化石は、目的の化石を掘り出そうと割り出した周囲の破片の中から偶然見つけた物です。
最後の方ではこの発掘体験の為にボランティアできてくれている学生さん?にコツなんかも教わりながら、ずいぶん掘るのには難しそうな化石の密集した部分から、たくさんの化石を取り出していました。
今回のこの発掘体験は「湯沢市ジオパーク推進協議会」の企画で開催された物でして、午前中の発掘を終えたら、午後からはお約束の通り、旧高松小学校内にある「三途川化石資料室」へ。
この場所からほど近い所にある三途川渓谷付近で発掘された昆虫や植物の化石を中心に展示されている訳ですが、「恐竜じゃないのかと侮るなかれ!!」ということで(正直、実際見るまでは私自身ちょっと侮ってました。汗)、そのクリーニングの丁寧さなど標本の美しさと質の高さには正直驚かされました。
写真はありませんが、蜂みたいな昆虫の化石にいたっては形はもちろんですが、中には色までも識別できる様な物もあって見応えもありました。
ちなみにここに展示されている化石の多くが、こちらの「押切伸」と言う先生が採取された物だそうです。
資料室見学のあとは今掘って来た化石のクリーニング体験ですが、うちの場合、今回たまたまきれいに取り出せた物ばかりで、あんまり面倒な手間もなく終了し、その後、今回の企画のために来て頂いた貝化石のエキスパートの小笠原憲四郎教授に分類もしてもらい、本日の日程は終了しました。
今までも何度か「発掘体験」に参加した我が子でしたが、行ってみたら「拾うだけ」と言われたり、どこかから集めて来た石を割るだけ、なんて物がほとんどでしたが、今回は実際に岩盤に取り付き、汗水たらし泥だらけになりながら化石を掘り出せた(しかも周りの大人に発掘のノウハウを教えてもらえた)と言う事で本人もスゴく楽しんでいたようで、とても貴重な体験をさせてもらえた様な気がします。
貝化石という事で、楽しめるかな?とちょっと心配な部分もありましたが、こうやって見ると、あまりにも断片的で本当の専門家じゃないと判りにくい大型の動物の化石よりも、小さいからこそ視覚的にも判りやすい貝化石みたいな物の方が、最初の体験としては、むしろ良かったんじゃないかと思う今日この頃。
ジオパーク推進協議会の方々を始め、お世話になったたくさんの方々に感謝しつつ、次はいつかと首を長くして待っている私たちでした。
ありがとうございました!!
中野修一公式ウェブサイト/この世界のカケラを眺めながら
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2013年9月29日 (日)
4年間お世話になりました。
札幌市の南、真駒内にある私設図書館「六花文庫」。
主に食をテーマにした本を収集しているその図書館内の、片隅におかれた棚に納められた箱の中には、作家さんの手による小さな作品たちが、ふたを開けられるのをひっそりと待っていました。
ありがたくも私の作品もそんな箱の中の一つに納まる事を許されて、はや4年。(途中で作品の入れ替えもありました。)
どれだけの人が作品を見て行かれたのかは判りませんが、そんな場所に自分の作品が静かに息づいていると思うだけで、なんだかとっても嬉しくなるような場所でした。
またそのおかげで念願の北海道での個展開催のチャンスも頂くこともできるなど、色々な意味でお世話になった場所であります。
作品の入れ替えで、私の作品はこの9月で撤収となりますが、10月からはまた新たな作品たちが、来館した皆さんに箱を開けてもらえるのをひっそりと待つ事になると思います。
壁に掛けられたりや展示台に置かれているのではなく、箱を開けて自分の手に取って眺められる作品が置かれている場所。
そんな、ちょっと贅沢な時間を過ごす事のできる「六花文庫」に、皆さんもお時間がありましたら、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?。
次はどんな作品と出会えるのかな??
*六花文庫のサイトはこちら
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2013年9月26日 (木)
アントニオ・ロペス・ガルシア
日本での巡回展も最終地である岩手県立美術館での展示が始まり、いよいよ盛り上がっているかと思い気や、所詮は「知る人ぞ知る」というか、ほぼ一部の人たちだけが大騒ぎしているようで、ちょっと恥ずかしいやら、残念やら。
私なんかで言えば「この展覧会を見るまでは死ねない!」ぐらいに待ちに待った企画で、岩手まで、あと何回行こうかと考えてる始末。
ちなみにこの展覧会を見てしまった今では、逆に「このままでは死ぬ訳には行かない!」と気持ちを新たにして、制作に臨んでいる訳であります。
私の記憶が確かなら、私が大学生かそのちょっと前ぐらいで、当時、どちらかと言えば「スペインと言えば抽象」といことでピカソやミロ、タピエスなんかがスペインの代表格だった時期に、「スペインの魔的リアリズム」ということで、写真みたいな具象画を描く一派が話題になり、その先駆的な作家として彼が紹介されたのが最初なんじゃないかと思います。
ただこの一派は確かに技法的には写実なんですが、中にはちょっとシュール的な匂いのする作品を作る作家も多く、故に「魔的リアリズム」と言われていたようなフシがあり、アントニオ・ロペスにしても当時、上の作品のように人物が浮いているような物があったり、路上でエッチしてる風景とか、その他にも「魔的」と言えなくもない作品が数点存在していました。
ただ、その後に続く作風からも推察するに、彼がめざしていたのは「魔的」なものではなく「リアリズム」そのものであり、その点では同時代の作家とは一線を画する存在だったと思っています。
(彼以外の作家は「魔的(シュール的)」空間にリアリティを持たせるために写実という技法を取り入れたと思われるが、彼の場合はリアリズムを追求した結果、作品に「不可思議な要素」が表出してきたのではないか?)
当時こんな作品が数点、日本でも展示され、強く影響された人がたくさんいたようで(私も夜行バスを使ってはるばる東京まで観に行った)、今現在写実的な作品を手掛けている作家さんの多くが、少なからず彼の作品を手本にしたり、真似したり(私も)しているようです。
実際、彼の作品の多くは一歩離れてみると、本当に「写真の如く」見えるモノが多く、その技術とまなざしの鋭さ、そして長年同じモチーフに向い続けるそ執着心や集中力には驚かされます。
最近日本でもブームになっている「写実絵画」ですが、それに携わっている方の多くがかのアントニオ・ロペスを信望し、中には神のように言う人もいるようですが、よくよく見ると、彼が目指した物は今の日本で流行っている「写真的なリアリズム」とは、またちょっと違うような気がします。
確かに、上の様な街並を描いた風景画の目の前に立ってみると、本当にその場にいるような感覚になり、臨場感みたいなモノが伝わってきます。
ところがその細部に目を凝らすと、案外細かく描いていない、と言いうか全然描いてなくて、素人眼にも描きかけにしか見えないような部分があちこちに点在しています。
昔、彼の静物画を模写しようと雑誌の写真から拡大コピーを取った事があるのですが、それを見てみるとけっこう大雑把な筆跡だけで表現している部分が非常に多い事に気付き、むしろ「その筆の粗さで、どうしてこんなにも細部まで描いているような印象を与える事ができるのだろうか?」と、頭を悩ました事があります。
ようするに彼の絵は「(ある意味病的に)写真の様に細かい絵」では決して無く、むしろ「当たり前な絵画的な描法で描かれている普通の絵」であると事実に気が付いた時、空いた口が塞がらなくなりました。
そもそも彼には、「正確に描いてやろう」とか「写真の様に描いてみよう」と言う意志は全くなくて、ただ「お気に入りの風景や静物を、目で見た通り描いたら、たまたまこうなった!」みたい感じさえします。そしてその結果として彼の作品中には、対象物そのものではなく、そこから目の中に入って来る光が描かれているのではないかと思うのです。
さらにはそう言った「モノ(対象物、あるいは光)の捉える姿勢」こそが、ベラスケスにも通じる部分なのかもしれません。
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最後に、会場入口のすぐの所にあった彼の言葉が印象的だったので、ここに書き留めておきます。
「最初に受ける感動を表現する能力は、現実世界を正確にコピーする技量や正確さとは別の物なんです。」アントニオ・ロペス・ガルシア
(なんかメモしくじったような気がする...また今度確認して来よう)
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2013年9月18日 (水)
久々の鑑賞の時間
久々に鑑賞の授業に参加させて頂きました。
「久々」と言っても、中学校での授業は初めてなのでどんな風になるのか、てんで見当もつかず、私もかなり緊張してました。
幸い、今回は授業者ではなく、作品の制作者として解説をするだけなので、ほとんど「お客さま」状態だったので、気持ち的には幾らか楽でしたが。
何の予備知識も無しでの、いきなりの作品鑑賞で始まりましたが、皆さん熱心に見てくれてました。
ただの通りすがりの振りして、鑑賞している生徒さんたちに混じって、彼らの喋る言葉に聞き耳を立ててました(自分の風貌から察するに、きっと正体はバレていたと思うけど、ハハ)。
それを聞きながら、感心するやら、驚くやら。
「この2点の作品の視点が違う(見上げる構図と見下ろす構図)は何故だろう?」なんて疑問が出た時には、正直、自分でも考え込んでしまいました。
それにしても「(カバが)街を守っているみたい」と言う感想は初めてで「目からウロコ」でした。(「脅している」とか「怒っている」と言う感想が多かったので)
皆さんの熱心さを見て、解説を始めたこっちもついつい熱が入ってしまい、時間ギリギリまで喋ってしまいます。
あまり喋り過ぎたような気もしますが、こちらの思いの半分でも伝われば、まあ、良かったのかな?
こんなワークシートを使いながら授業を進めて行く訳ですが、それにしてもよく書きます。
作品を鑑賞しながらメモを取り、発表を聞きながらさらにメモを取り、解説を聞きながら...とだんだんと文字で埋まって行きます。
このうらに授業の感想を書く欄があるんですが、私がすっかり喋り過ぎたおかげで、残り時間が少なくなったにもかかわらず、全員きっちりと埋めていたのには驚かされました。
先生曰く「小学校の時から、テストなどでも『考えて答える』訓練をしているので、みんなこれくらいは書けるんだ。」とのこと。
自分が中学生だった頃の事を考えると、驚異的とすら言える書き込みの量でした。
そんな感じで、無事授業も終了。
参加者の生徒さん、授業者の先生、ありがとうございました。
おかげさまでこのシリーズもほぼ一年ぶりですが、日の目を見る事ができました。
でも、もうそろそろ潮時かな?
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2013年9月11日 (水)
10月は二人展。
伊藤隆さんとお会いしたのが、20年以上前の大学時代(青森県)。
私が入学する前の年に亡くなられた絵画の先生の後任として赴任してきた先生でした。
教育学部とは言え「美術系」と言う事もあってか、今にして思えば個性的な先生が多かったのですが、この先生もちょっとした瞬間の目つきの鋭さに「きっと何かあるんだろうな」とは思ってましたが、案の定、実習室の掃除をさぼっている学生を見つけて「廊下に立たせる」という行為にいたったのはまさにこの人でした。
(その中の一人に私が入っていたことは言うまでもない?)
まあ、これは直接美術とは関係のないエピソードですが、当時はそれくらい怒らせると怖い先生でした。
それ以上に驚かされたのが、赴任したばかりのある日、とある卒業生(5年くらい前)の版画の個展を観に行った時のこと、その作家さんが冗談半分で「この中で新作じゃないのが一点だけあるんですけど、わかりますか?」と冗談半分で言った言葉に、瞬時にして目つきの豹変した伊藤先生。私たちを廊下に立たせた時と同じ鋭い視線で数分間、展示を見て回り、その旧作をピタリと言い当てたのでありました。その場に偶然居合わせた私でしたが、その光景を目の当たりにした時「この先生は信じても良いのかな。」と思い、それからお世話になること20数年。
(ここだけの話ですが、そう言うエピソードと同じくらい、思わず吹き出しちゃうような話も沢山あります。)
私が卒業した後も、何度か一緒にグループ展を開催したりしてましたが、なにしろお互いが遠い所にいたというのもあり、グループ展をしなくなった後は、たまに電話をしたり手紙を書いたりする程度の時期もしばらくありました。
ところが不思議なご縁で、再び同じ県に住むようになって、また交流が再会し、この3月に伊藤先生が勤めていた秋田大学の退官を期に「じゃあ、久々に一緒に何かやりますか」ということで、開催の運びとなった二人展であります。
同じ秋田県で絵を描いているにも関わらず、たぶん私の知り合いで「伊藤隆」さんの名前を聞いたことのある人はあんまり多くないと思うし、その逆もまた然りで、中には「なんでこの二人が一緒に展覧会をやるんだろうか?」と首を傾げている方も居られると思いますが、実を言えばそんな訳であります。
一時期、縁遠くなったとは言え、その間も同じ団体展に所属したりしていたので、お互いの作品についてはある程度見てきているので、「だいたいこんな感じで来るのかな?」という想像もしつつ、鋭意制作中でありますが、実際どんな作品が出て来るのか、並べたらどんな風に見えるのか、なんて言うのを一番楽しみにしているのは私たち二人なのかもしれません。
伊藤隆 中野修一 2013 絵画展
*会期:2013年10月16日(水)〜20日(日)
11:00~19:00(夏より1時間早く終わります。最終日は17時まで)
*場所 ココラボラトリー/秋田市大町3丁目1-12 川反中央ビル1F
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2013年9月10日 (火)
私の好きな場所...三国峠
性懲りもなく「北海道シリーズ」はまだ続きます。
でも、これが最後かな?
道東は石北峠と層雲峡の間に位置する大雪ダム。
そん墓地書くの別れ道から39号線を離れ、帯広方面へ向う273号線を進むとほどなくして出会う峠です。
昔から峠にある茶屋は今も健在で(と言うか立地的にはトイレと休憩所があるだけでも不思議じゃないような場所ですが)、最近、店の雰囲気も変わって、こんなそばやうどんの他に、昔は無かったちょっとこじゃれたカレーやエスプレッソやカプチーノまで頂ける、ちょっとしたkフェのようになってました。
以前は正直いまいちな雰囲気で、食事なんてしたこともなかったけど、今回初めて昼食を食べてみました。
美味しかった〜!
大雪山の外れにあるようなこの峠からの景色は、どこまでも続く原野と山並みのみで、パッと見この下に国道が走っていることがちょっと信じられないような場所です。
自分でも、なんでここがお気に入りの場所なのかは上手く説明できないけれど、ある年の11月に初めてここを走った時に見た晩秋の雰囲気がとても心に残っているせいなのかな?
正直、変哲のない風景で、描くことを躊躇するような場所ですが、でも死ぬまでにいつか描いてみたいなぁ...と思っている場所であります。
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2013年9月 9日 (月)
チェーン店じゃないハンバーガー
3年ぐらい前に実家に帰った時に、その存在に気が付いて、一度寄ってみようと思っていたお店。
そもそもなんでそれに気が付いたかって言うと、国道沿いのその店の前を通った時に、大型バイクが集団で止まっているのが目にとまり、「なんか新しいお店、出来たんだなぁ」と思っていたんですが(それ以降は忘れていた)、その後、妻が「ネットで見つけたハンバーガー屋さんに行ってみよう!」と言って出かけた所が、まさにその店でありました。
(ただしその時は結局行けず、今回の帰省でようやく寄れました。)
お盆も過ぎて、賑わいも一段落した平日のその日、あまり広くは無い店内(基本テイクアウトのお店)で、案の定、バイク好きで旅行好きのお店のご主人とお話をしながら、出来上がるのを待ちます。
『M』の付く店があまりにも有名ですが、そんなチェーン店のモノばかり食べていると、正直「あれが本物」と思い込んだりしてしまって、「たいした食べ物じゃないなぁ。」と言う結論に至ってしまいそうなハンバーガー。
でもこんな風にお店のカウンターで出来上がるのを待たせらつつ、手作り感たっぷりのハンバーガーをテラスなんかでのんびり頬張っていると、「同じファーストフードでも、ずいぶんスローだよな」とか考えながら、その美味しさにちょっとビックリします。
*お店の公式サイトはこちら
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2013年9月 6日 (金)
北海道は「化石王国」?!その3
北海道の中心地である「札幌駅」から歩いて数分という好立地にありながら、広大な敷地を有し、あまつさえそのキャンパス内に川まで流れているというアンバランスさが何とも言えない北海道大学。道内に住んでいて大学をめざした者なら、かならず一度は憧れるものの、そんな若者たちの多くが、それが到底叶わぬ夢と気付き、青春の挫折の一歩を味わった場所ではないだろうか。
(私の場合は最初からお話しにならなかったので、眼中にもなかったけど)
そんな自分がちょっと風邪気味で熱っぽい体をひきずりながら、家族とともにそのキャンバスでビーフカレーを喰らっているのは、いったい何の因果か?
...とまあ、くだらない前置きはこれくらいにしてさっそく本題へ入りましょう。
ここには古い校舎を利用した博物館があり(この建物だけでも一見の価値有り)、特に道立の大きな自然史系の博物館が見当たらない札幌に置いては、ある意味とても重要なポイントとなっている場所であります。
で、毎年夏休みに合わせて企画展を開催するのだけれど、今年は「巨大ワニと恐竜の世界 ―巨大爬虫類2億3千万年の攻防―」と言うことで、うちの家族たちは、薬と微熱でフラフラになった私など眼中にもない様子で、取る物もとりあえず会場に馳せ参じた訳であります。
体長12メートルと言うから、サイズ的にも恐竜たちと何ら遜色無い巨大爬虫類ですが、分類上はあくまでも恐竜類とは一線を画す存在のワニたち。
一方は中生代の終わりにほぼ絶滅してしまったのに対し、こちらのワニたちはその後も生き、進化を続け、現在も同じような姿で生き続けています。ただ、中には見た目の顔つきや体つきだけなら恐竜と見分けの付かないような姿のワニの祖先(二足歩行だったヤツもいるくらい)もいたりして、なかなかに興味深い展示であります。
もともとこちらの展覧会を企画した北大の先生が古代?ワニを専門に研究をされているらしいのでこんな企画になった訳で、今回の企画展のために準備された図録も主にそのワニ類の進化の過程を中心に解説されたものでしたが、それ自体、読んでいてスゴくわかりやすく、また恐竜と共通する部分や相対する部分なんかも想像しながら読むとなお楽しい一冊でありました。
また、ここではボランティアの学生さんが色々と説明もしてくれるし、質問にも丁寧に答えてくれるので、とっても勉強にもなるし、キャプションに書ききれないお話なんかも聞く事ができます。
そんな企画展ですが、すでに来場者が2万人を達成しており、さらにはこの旅行から帰って来た頃には3万人を突破したということですから、「静かなる恐竜ブーム」(と勝手に私が呼んでいる)はまだまだ継続しているようです。
「恐竜化石」と言う点ではあまり目立たない北海道ではありますが、哺乳類や貝、海生爬虫類の化石などの産出量や埋蔵量なら、決して他に引けを取らない(単純に面積も広いですから)...と思うので、これからもっと盛り上がって行きそうな彼の地にて観た、大粒とは言えないけれど、とっても充実した内容の企画展でした。
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